(前回の続き)前回は木材調達の難しさにフォーカスしていたTakuro便り。後半では、火を使うことによる影響と具体的な家庭の例を紹介しています。
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Callenge2. 火を使うことによる影響
火を使って調理することによる影響は有害な煙による人体への影響です。有害な煙は呼吸器官に作用し、特に赤ん坊や小さい子供が犠牲になっています。WHO の報告によるとバイオマスの燃料による室内空気汚染に呼吸器官の病気により150万人の人が犠牲になっているそうです。そして、そのほとんどが女性と子供です。より詳細な情報は以下のWHOのレポートへアクセス(Http://www.who.int/indoorair/publications/fuelforlife.pdf)
以下の写真を見れば、キッチンの煙がどれだけ深刻か分かると思います。
たくさんの真っ黒なススが付着している。
また、有害な煙が人体にどれだけ影響するかどうかはキッチンのタイプ、また使用する材料にも依存します。
1.キッチンのタイプ
キッチンのタイプを以下の4つに分類しました。
1.1キッチン専用の大きい建物(窓付き)
このキッチンでは、煙が窓とドアから逃げていき、効率の良く換気ができます。また、室内が広いので煙が拡散します。よって、有害な煙を吸収するリスクは4つのタイプの中で一番低いです。
窓があるので煙が外に逃げていきます。
1.2キッチン専用の大きい建物(窓なし)
このキッチンではドアしか換気する場所がないので、効率よく換気することができません。しかしながら、室内が広いため煙が拡散します。
窓はありませんが、大きい建物なので煙が拡散します。
1.3キッチン専用の小さい建物
このキッチンのタイプは窓もなくスペースが狭いため、有害な煙を摂取するリスクが非常に高くなっています。
非常に狭いキッチン
1.4セルフコンテナー
セルフコンテナーとは、キッチン専用の建物がなく1つの建物で調理、食事、睡眠する建物を指します。セルフコンテナーでは、1日中室内にいるので、4つのタイプの中で最も長時間煙を摂取することになります。また、有害な煙が呼吸器官に作用するだけでなく、室内にある衣服等を汚染します。
キッチンの脇にベッドがあります。寝ている最中も煙を摂取することになります。
2.使用する材料
Challenge1で述べたとおり調理には木材以外の材料を使用することが普通だと述べました。では、それぞれの材料によってどれだけ煙の量は変わるでしょうか?ここでは、他のパラメーター(燃焼の持続時間、火力、入手難易度、乾燥するまで時間)も一緒に比較してみたいと思います。ちなみに、この結果はインタビューによる調査から得ました。
| 燃料の持続時間 | 火力 | 煙の量 | 入手難易度 | 乾燥するまでの時間 |
木材 | 長 | 強 | 普通 | 難 | なし |
サトウキビ | 普通 | 普通 | 多 | 易 | 長 |
トウモロコシの芯 | 短 | 普通 | 多 | 普通 | 短 |
Millet | 超短 | 弱 | 普通 | 普通 | 短 |
上記の表から、サトウキビとトウモロコシの芯が大量の煙を出すことが分かります。
具体例
さて、次に3つの具体例を見てみましょう。
1.木々がわずかにある家庭①
名前:Florence Awino
年齢:50years
一緒に住んでいる子供の数:3人
キッチンのタイプ: セルフコンテナー
夕食の回数:毎日
チャレンジ:木材を毎日使用できないこと。そのため収穫後のサトウキビ畑に行き、サトウキビの廃棄物を回収して今は毎日使用しているそうです。サトウキビは大量のススを放出します。特に、彼女の家はセルフコンテナーのため衣服等が汚れが深刻だそうです。
2ヶ月分のサトウキビ
2.木々がわずかにある家庭②
名前:Berita Leah
年齢:41 years
一緒に住んでいる子供の数:3人
キッチンのタイプ: キッチン専用の大きい建物(窓なし)
夕食の回数:毎日
チャレンジ:木材を毎日使用できないこと。先週は、5日木材を使用し、2日サトウキビを使用したそうです。また、今週は4日トウモロコシの芯を使い、3日サトウキビを使う予定だそうです。乾季の今は上記のような材料を使用することができますが、雨季は乾燥すること難しく時にはプラスチックを使用することもあるそうです。
木々がまばらに生えている。
ちなみに、この家は私のホストファミリーの1つであるため、キッチンの様子を写真に取ることができました。
トウモロコシの芯を燃やしている。
サトウキビを燃やしている。
Milletを燃やしている。
3.木々がまったくない家庭
名前:Henry Wayumbu
年齢:35years
一緒に住んでいる子供の数:5人
キッチンのタイプ: キッチン専用の大きい建物(窓なし)
夕食の回数:4日/1week
チャレンジ:木材等の材料を得るのがとても難しいこと。この家に引越して来たのが5ヶ月前ということもあってこの家には写真のように木々が全くありません。そのため、週に2回木材を100Kshで購入しています。木材を使用できない日は、畑のトウモロコシの茎を使用したり、また収穫後のサトウキビを集め使用しています。近場でサトウキビが収穫されていない時は、片道2時間掛けて徒歩でサトウキビを回収しに行くときもあるそうです。また、サトウキビはすぐに燃焼してしまうため、料理は十分に調理されず、また、大量の煙を出すためススが大量に食べ物の中に混入するそうです。Henry曰く、このような食べ物を食べてか9歳の娘の体調がとても悪いそうです。しかしながら、病院に連れて行く資金もなく、また体調不良のため学校にも通っていないそうです。
Henryと病気の娘
木々が全くない
Solution
さて、上記のような問題がある中で、どのような解決策があるでしょうか?
ここでは、Kopernik FellowのMichealが東ティモールでやっている農作物の廃棄物から石炭を作るというプロジェクトにフォーカスしてみたいと思います。石炭の使用は木材等と比べ煙の排出量を減らします。
実は西ケニアでもこのプロジェクトを開始することになりました。長期的なゴール設定は、現地のNGO の代表と議論して、2011年3月の中旬までに100人の人々にトレーニングして、グループを作らせ、各々のグループが主体的に石炭プロジェクトを回すようになること、としました。そして、次回のレポートは石炭プロジェクトのトライアルの様子を報告したいと思います。
以下、ケニアの台所事情の写真アルバムです。
http://picasaweb.google.com/max622max/thVwRB?authkey=Gv1sRgCMPSucC8paH6lAE&feat=directlink
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