2010年5月30日日曜日

川下(Down Stream)の開発援助について

先日、隣人の家のパーティーに呼ばれた。実は隣の家の住人リチャードはコペルニクのアドバイザリーボードの一人でもある。

さて、このパーティーでは、東ティモール時代の国連の同僚など、懐かしい顔ぶれに多く再会した。その内の一人ピーターは、現在世界銀行インドネシアのコミュニティー開発プロジェクトで働いている。このプロジェクトは、Kechamatanと呼ばれるSub districtのコミュニティーに対して500万から1500万円のブロックグラントを投入し、コミュニティーの決めた開発ニーズに対して分配をするというもの。

こいうったプロジェクトは、ガバナンスを改革したり、開発戦略を作ったりという「川上」の援助ではなく、貧困層の人々に直接支援を届かせるという意味で「川下」の支援と言われるが、このピーターが言うには、長い間の開発援助を受けてきているインドネシア政府が、川上援助の効果に疑問を呈し、川下援助プロジェクトにより重点を置こうとしているという。

以前「下流支援の時代か」(川下という意味で)というブログを書いたことがあるが、川上支援に多く関わってきた個人的な経験からも、この川下支援へのシフトは非常に理解できる。コペルニクはまさにその川下の支援を、テクノロジーをテコにやっていくというもの。

2010年5月28日金曜日

ジェフリーサックス氏の本"Common Wealth"を再読

今ジェフリーサックス氏のCommon Wealth - Economics for a Crowded Planetを読み返している。前回読んだ時には、あまり注意を払っていなかったが、Earth Instituteで、ミレニアム・ビレッジのチームとコペルニクについて意見交換して以来、もう一度読んでみようと思っていた。

ご存じのように、ミレニアムビレッジはテクノロジーを中心とした取り組みをしている。コペルニクを始めて、テクノロジーという観点からアンテナを張って読むと、しっくりとくる文章が至るところで目につく。(ページ数も書きたいが、キンドルで読んでいて、ページ数をどうやってみるか分かりません、、、)


Even when sustainable technologies have been discovered and developed, market forces alone may not guarantee their widespread adoption. We often need special incentives, in addition to market forces, to spur the adoption of sustainable technologies.


The central solution to ending extreme poverty is to empower the poor with improved technology... [but] the central problem is that the extreme poor are unable to purchase those very technologies on their own. ... The trap can be broken if public financing provides the poor with the technologies that they need but cannot afford. The technology raises their productivity; this increases their income, allows for savings and investment, and thus breaks the trap.


さらに言うと、彼が要するに↑で言っている市場の失敗を、(国連機関などの大規模な支援を得て)途上国政府が介入して解決しようとしても、今度は政府の失敗が障害になるのだ。


まさにここにコペルニクがやっていることの意義があると思っている。

2010年5月27日木曜日

IDE カンボジア

IDEのカンボジアの人達とコミュニケーションを取っている。例えばこんなプログラムを行っている(↓)。便器を作って、マーケティングの支援をする。

IDEの素晴らしいところは、地域密着でハンズオンの適正テクノロジー普及をしていること。

一緒に仕事が出来ればいい。

2010年5月26日水曜日

一時帰国

6月12日と20日の間で一時帰国することになりました。コペルニクに興味のある方や、協業などに興味のある方など、kopernik(at)thekopernik.orgまでご連絡いただければと思います。

よろしくお願いします!

大学と国際機関のコラボ Design for Unicef-NYU

ユニセフの本部の知人を通じて知ったのが、ニューヨーク大学のDesign for Unicefクラス。一年のクラスを通じて、ユニセフが関わっている分野における新技術・製品を開発するというもの。

このクラスで出来たものの1つが、途上国向けの水質検査器具のCanary。下がプロトタイプ。近々この発明者グループと話をすることになっている。

大学と途上国開発機関との色々なコラボが生まれている。

2010年5月24日月曜日

赤ちゃんの呼吸障害を解決する InfantAir

InfantAirという、安価で安全な赤ちゃんの呼吸障害を解決する装置を開発したライス大学のチームからコンタクトがあった。MBAの学生とエンジニアの学生の混合チームで開発された。ライス大学のビジネスコンペティションで賞を取り、会社として立ち上げているという。


具体的にどんな協力が出来るか今週話会う予定。

2010年5月23日日曜日

N Computing in Timor-Leste

ディリで訪ねたインターネット教室では、NComputingを使用していた。




この教室一杯の生徒に対して、実際に使われているデスクトップの数は2つ。



このコンピュータースクールの代表によると、中国製で安い類似商品が会ったが、少し高くても室の良いNComputingを使っているとのこと。

2010年5月22日土曜日

ナイジェリアプロジェクトのRapid Assessment


ナイジェリアのIgbotoko(Aの地点)

その時に森田さんが行ってくれた、rapid assessmentの結果を以下に報告。プロジェクトの開始直後だったので、測定できない項目が多かったが、以下測定出来たものをアップする。

成績優秀生徒の一人Ayebo君

150人の生徒の内の14人をサンプルにインタビュー。60%が男子で40%が女子。


80%近くの家庭でケロジンだけを使い、14%の家庭ではケロジンとろうそくを併用。


一か月あたり平均、彼らの家庭がケロジンに使うお金は約9.2ドル。今回は、成績優秀者に対する「御褒美」として配布したが、仮に家庭がK-Lightを買ったとしても、約5か月で回収できる。FireflyやD-Lightなら1-2か月。

K-Lightに対するフィードバックはまずまず。約70%が非常にEffectiveだと評価。


このRapid Assessmentはコペルニクの全てのプロジェクトでやっていきたい。

2010年5月21日金曜日

東ティモール報告

第一日目 (513日)

午後1時過ぎにメルパティ航空の飛行機でディリに到着。デンパサールから約2時間弱。飛行機の中では、何人かの見慣れた顔を見かけた。

以前は国連のLaissez-passerというパスポートでビザなしで入国出来たが、今回からは列に並んでvisa on arrivalを取得。エバの知り合いダイアナが来るまで迎えに来てくれていた。空港からは、今回泊まる家まで直行。空港からディリまでの道中で、信号を見かけ、2004年から時間がたったことを感じる。





今回泊まっているのは、このダイアナの知り合いのイタリア人夫婦の家。彼らはちょうど休暇中で、殆ど無料で泊まらせてもらっている。


今回のテクノロジー・フェアーは、政府のアドバイザーをしているエバさん(同じ名前)が東ティモール側から調整をしてくれている。フェア自体が15日からなので、今日と明日、色々なミーティングをセットアップしてくれていた。

最初のミーティングは、財務副大臣。招待したD-LightPresidentNTさんと出席。D-Lightを含めた、Kopernikの取扱テクノロジーの説明を30分ほどでプレゼン。副大臣は、税関のスタッフなどを集めてくれ、こういったプロダクトをチェックする人達のawareness raisingを助けてくれた。

その後、Haburasという東ティモールの環境NGOを訪ねた。ここは、一緒に展示会のブースをシェアする機関で、コーヒーの殻や捨てられた紙などを使って燃料を作るプロジェクトを行っている。










その後、エバさんがオーストラリア人の医師などもよんで彼女の家でディナーに招待してくれた。

2日目 (514日)

この国はこんなに暑かったか。

さて、2日目の最初のミーティングは東ティモールのマイクロファイナンス機関と。ここは3つあるMFIの中で一番小さいところだが、最近インドのMFIからアドバイザーが到着し、だんだんと成長しているところ。いくつかのアイデアを話、興味を持ってもらう。20日に再び会うことにした。その後、フェアの場所をチェックしに行く。かなり大きなフィールドを使ってのフェアで、東ティモールの独立記念日のイベントの一環。場所を確認して、テーブルなどのセッティングをチェック。

その後、D-LightNTと東ティモールでD-Lightの代理店探しを手伝った。その内の一人は、ディリにいくつか店を持ち、地方でも農業器具などを農民に売っているティモール人のビジネスマンR氏。結局R氏が、お試し期間を決めてD-Lightの販売を行うことになった。



3日目 515

フェアー1日目。午後5時からの開始。この日、独立記念日のイベントが同時に始まり、政府代表や各国の大使がデモクラシー・フィールドまで来ていた。



フェアーが始まって少しすると、多くの人が我々のブースに集まってきた。東ティモールの大統領ラモスホルタ氏も5分ほど寄ってくれ、我々のテクノロジーを紹介できた。
















この日の晩は、国連フォーラムでご一緒させていただいているユニセフの代表のJKさんがディナーに招待してくれたので、エバを残してディナーに参加。去年講師を務めた広島平和人材構築プログラムで会ったMMさんや国連開発計画のJPO、日本大使館の方などと、楽しい時間を過ごした。

4-6日目 (16-19日)

順調に人がフェアに集まっている。フェアの前にミーティングをいくつかこなす。多くの古い友人がまだ東ティモールにおり、ランチやディナーを一緒にした。また、地元のフィッシュ・マーケットや野菜マーケットの視察に行ったり、代替エネルギープロジェクトを行っているいくつかの団体と意見交換を行った。







国連ラジオにインタビューもされ、今週末に全国で放送される予定だ。

7日目 (20日)

今日は、独立回復記念日。殆どの店が閉まり、皆がラジオで流れる独立記念イベントの様子を熱心に聞いている。フェアには、休日ということもあり、いつもより多くの人が集まった。



最終日はまたいくつかのNGOとミーティングをし、帰路についた。

1週間ほどの滞在だったが、東ティモールでの適正技術のニーズを再確認し、さらにいくつかのパートナーをさがすことが出来て満足。

2010年5月19日水曜日

東ティモール テクノロジーフェア 速報

独立回復記念日の催しの一環で5月15日から始まった東ティモールテクノロジーフェア。コペルニクのフィーチャーするテクノロジーをインドネシアから持参し、現地語のテトゥン語のパンフレットをつくって臨んだ。

デモクラシー・フィールドという、屋外の場所のテントの1つが我々のブース。太陽ランプ会社D-Light、国際NGOのPeace Dividend Trust、現地NGOのHaburasなどとともにこのブースを借りた。

多くの東ティモール大学の学生が一番興味を持ってくれた様子。他のブースに比べても、人の集まりが格段に良い。皆、「こんなもの今まで見たことがない」、「こういったテクノロジーが東ティモールに必要とされている」などのコメントをくれる。初日の15日には、ラモスホルタ大統領もブースに訪ねてきてくれた。


テクノロジーの説明をするEwa

セールスマンになった私

MITD-LabのDIYテクノロジーに見入る人々

ライフストローに興味を示す高校生

自分で度数を調節できるメガネに興味を示す大学生

ライフストローのデモ

今回の東ティモール訪問に先立って、D-Lightを招待。共同創設者かつPresidentのネッドさんが来て、テクノロジーフェア参加とともに現地のニーズ調査なども行った。一緒に訪ねた移動病院を経営するダン医師は、特に太陽ランプとメガネ、そしてソーラーイアーが有用だろうと言っていた。

移動病院を運営するダン医師にテクノロジーを紹介

特に、ディリ県の離れ島、アタウロ島(↓)では、なぜか難聴の人が多く、ソーラーイアーが重宝されるともいった。

ディリから眺めるアタウロ島

追加報告はインドネシアにもどってから。

2010年5月16日日曜日

「ナイジェリアの農村部の学生たちに明かりを」プロジェクト視察報告

御無沙汰です。今、東ティモールの首都ディリにて、テクノロジーフェアを行っております。インターネットへの接続が限られており、ブログの更新やメールの返信がかなり遅れて申し訳ありません。

さて、ナイジェリアの成績優秀な学生へのアワードとして、ソーラーランタンを授与する「3月のプロジェクト」が無事ファンドされ、プロジェクトが始まりました。その開会式(?)を視察に行ってくれた森田結花さんが以下に簡単な報告を書いてくれました。

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この度、Kopernikのプロジェクトに参加させていただきました森田と申します。

ナイジェリアのOndoIgbotakoという村に住む学生150人に、ソーラーライトを配るプロジェクトの現地視察をさせていただきました。

この学生の方々は、家に電気が無く、ケロシンを用いたライトのほのかな明かりを頼りに生活をしていました。ケロシンは身体に非常に毒性が強く、その煙で死に至ることもあるほどです。

このプロジェクトにより身体に無害かつ太陽光で充電できるライトが配られ、学生の皆さんは本当に心から嬉しそうに大騒ぎをしていました。学生からは、「このライトでもっと勉強したい。たくさん勉強して家族を支えたい。とても嬉しい。」という声、現地NGOからは「非常に助かる。より多くの人々の力になれるよう、Kopernikのような活動が増えてほしい。」という声を聞いてきました。

また、このプロジェクト内容はナイジェリア全土でのテレビニュースでも取り上げられました。


2010年5月11日火曜日

コペルニクのアニメーションが出来ました!

数か月かかったが、素晴らしいアニメーターの方と巡り合え、コペルニクビデオが出来た。

音楽もオリジナル。新しいテクノロジーが導入される時に、音楽がアップビートになるなど工夫をしている。

お手すきの時にでも観てください。

インターネット接続への道

インドネシアに到着して以来、これでインターネットアクセスをしのいでいる。高速接続は、会社が最初に言っていた予定では進まず、まだ出来ていない。











が、少しずつだが進歩している。今日は、21メートルのポールにアンテナをくっつける作業をしている。これ(↓)。

高いところが苦手な私は、絶対にこんなこと出来ません。


2010年5月9日日曜日

モハメッド・ユヌス氏のCreating a World Without Povertyを読む

最近お気に入りのアマゾン・キンドルで、モハメッド・ユヌス氏のCreating a World Without Povertyを読んだ。

この本では、特に、社会ビジネスというコンセプトを整理し、マイクロファイナンス以外のグラミーンの事業を紹介している。

社会ビジネスに関して、
  • 利益ではなく、社会インパクトで成功を図る
  • 株主への配当がなく、利益をすべて事業拡大に再投資する
  • (場合によって)貧困層が株主となる
といった要素を挙げ、実際にグラミーンダノンを形成した時のエピソードを紹介している。同時に、社会ビジネスの株式市場、格付け制度など、非常に斬新なアイデアを書いている。

以前に書いたFor Benefit企業は、彼のアイデアに近いモデルなのだろう。

自分で1からグラミーンファミリーを作り上げたユヌス氏の言葉は重い。

2010年5月7日金曜日

インドネシアに到着

数日前にインドネシアに到着したが、インターネットの接続がまだ安定せずブログの更新がかなりおろそかになっている。が、来週月曜日にはインターネット用の20メートルのタワー(!)を設置するので、その後からはスムーズになるはず。Stay tuned!