2011年4月30日土曜日

メラピ火山の被災者にバイオマス調理ストーブを届ける

去年の10月に、インドネシア、ジャワ島のメラピ火山が噴火。その影響で数百人が死亡し、4万人ほどの住人が避難をした。


6か月ほど経過した今でも、避難所生活をする人は多い。普通の生活のペースを取り戻しつつあるが、その中で、問題となったひとつが料理。


薪をつかった調理が未だ一般的だが、回りの木々が枯渇していくなか、ふんだんにあるトウモロコシの芯やココナッツの殻を燃料に出来るバイオマス調理ストーブを届けた。このプロジェクトは、大和証券グループとラッセル・インベストメントの寄附によって実現した。

皆が住んでいる仮設住宅。


これは、ストーブを配給している様子。


ほかの場所でもそうだが、このストーブは、燃料効率が非常に高く、ゴミを燃料に出来るので、非常に評判が良い。



いつもの通り、アンケートを取って、使用前・使用後の変化を調べる。


2011年4月29日金曜日

See-D Innovation Challenge: 審査発表会5/22(日)開催決定!

See-dコンテストの審査発表会のお知らせです!
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【世界を変えるタネを育てよう】 
★途上国が抱える課題をものづくりで解決するビジネスプランコンテスト ~See-D Innovation Challenge~ 審査発表会5/22(日)開催決定!!  
*東北地方太平洋沖地震の影響を鑑み延期しておりました、「See-D Innovation Challenge」審査発表会の開催が決定しましたので、改めてお知らせいたします。  世界では、まだきれいな水にアクセスできていない人が10億人、電気が届かない人が14億人いることをご存知ですか?そのような地域では現場の生活様式・ニーズに合わせて作られた製品がないために「お金があっても買えない」状態にあることもしばしばです。  このような地域に向けて必要とされる製品を作り、持続可能な形で普及させられないかと日々奮闘している9つのグループがいます。  安全な水の運搬から小型発電装置の開発、地場産業の創出に至るまでの様々な分野において、日本発で、世界の人々の生活を一変させうるアイデアが生まれつつあります。   
5月22日にこれらのチームによる活動の集大成として、See-D Innovation Challenge審査発表会を行います。 各チームが途上国の課題を解決するプロダクトとその普及プランを発表し、審査員・一般来場者・Web投票によって審査が行われます。   途上国の課題解決に向けて何かしたいと考えている方、ものづくり・起業に興味のある方、発明・イノベーションというキーワードが好きな方、国際開発やソーシャルビジネス・BOPビジネスに興味のある方、ぜひ審査発表会にいらっしゃいませんか?
審査発表会では、会場に来ていただいたみなさんにも「世界を変えるタネを育てる一員」となっていただくべく、発表者と参加者が一体となる仕掛けを用意しています。皆さんにも、製品開発のわくわくを共有し、何かヒントを持ち帰ってもらえるような場にいたします。   
なお、本審査発表会で賞が与えられたチームにつきましては、ビジネスの事業化をサポートする「第3部 See-D Incubation」へと進んでいただくことになります。   世界を変えるタネ(SeeD)を一緒に育てませんか?     
★イベント概要★ 
【日  時】 5月22日(日) 13:00~18:00(12:30開場、審査発表会後1時間程度の懇親会を予定) 
【場  所】 政策研究大学院大学 想海樓ホール(東京都港区六本木7-22-1)               http://www.grips.ac.jp/jp/about/access.html (千代田線乃木坂駅徒歩5分・大江戸線/日比谷線六本木駅 徒歩5~10分) 
【参 加 費】 社会人: 2,000円、学生: 1,000円(飲料・軽食の懇親会費込、GRIPS学生は参加費無料[IDをご持参下さい]) 
【申 込 方 法】 申込フォーム( http://kokucheese.com/event/index/10608/
【主 催 団 体】 米国NPO コペルニク(http://www.thekopernik.jp/) 
【共 催 団 体】 政策研究大学院大学 ※ See-D Contest の詳細は、http://see-d.jp/ を参照ください。   
※審査発表会では、政策研究大学院大学政策研究科の黒川教授、既に途上国で先進的な取り組みを 進められている日本ポリグルの小田会長、石黒猛クリエイティブ・ラボの石黒猛様、ベンチャーキャピタルであるNGIグループの金子社長をはじめ、グローバル企業や国際機関の 第一線で活躍する方々がゲストとしていらっしゃいます。
プログラムの詳細は http://see-d.jp/final_presentation.html よりご覧ください。 
See-D実行委員会 info[a]see-d.jp ([a]を@に変えてご連絡ください) 

2011年4月25日月曜日

自分で作るテクノロジー(DIY)実践編ビデオ!

東ティモールとケニヤで行っているDIY技術の普及活動を簡単にまとめた映像。

どちらの国でもTakuro、そしてマイケルとコペルニク・フェローが大活躍している。DIYは図面だけを共有しても、普及までに至ることは難しく、Fellowのような媒体が、忍耐強く、効果を説明したり、作り方のトレーニングしたりすることがカギ。

2011年4月19日火曜日

Powerfilmが被災地に届く


今回被災地支援で、被災地までの物流を全面的に支援いただいたウインローダー様より、再び朗報をいただいた。以前紹介した、パワーフィルムが既に被災地に届けられているという。

電気の復旧が見込まれず、かつ乾電池が不足している場所で非常に喜ばれているとこのと。

チーム ディナー

東ティモールで活躍するコペルニク・フェローのサリーがインドネシアオ・フィスを訪ねてきた。3日ほど、オフィスで一緒に仕事をする。フェローは、ほぼ全期間プロジェクトの行われている国・場所で時間を過ごすため、フェース・トゥー・フェースの時間があまりなく、このような機会は非常に貴重。

仕事の後、事務・会計を担当するハラサンと東ジャワのプロジェクトを担当するデディと5人で、お気に入りに行きつけの日本式ワルン(食堂?)のSoviaに行った。日本人の女性が経営するお店だが、インドネシアの風味を取り入れた日本料理を出すところ。値段も手ごろで、ビールを飲んで、お腹いっぱい食べて一人500円ほど。


世界中にメンバーが散らばり、バーチャルで仕事をすることがほとんどなので、こういった時間は尚更本当にうれしい。

2011年4月18日月曜日

バイオ・ディーゼルの原料で調理用ストーブを使ってみる

コペルニクを通じて、現在までにインドネシア、東ティモールで普及させている、バイオマス・ストーブ。薪の代わりに、ココナッツの殻はトウモロコシの芯などのゴミとして捨てられているバイオマスを原料に料理が出来るというもの。


実はこのストーブ、更なるデザイン改良がおこなわれている。その一つは、これ。今までだと、やかんとコンロの狭い隙間から燃料を追加していた。しかし、このモデルでは胴体の部分に穴が開いており、調理をしながら簡単に燃料を追加できる。おお!


もう一つの改良版は、別のバイオマスをエネルギーの原料とするモデル。インドネシアでJarakといわれる植物で、オランダ占領下時代にインドネシア各地で栽培され、バイオディーゼルの原料として使われていたもの。日本語では「ナンヨウアブラギリ」といういかにも油が出てきそうな名前。英語名はJatropha (ジャトロファ)。今でのバイオ燃料の原料として注目されているそうだ。

ナンヨウアブラギリの木

コンロの中のデザインが変わっているのと、安定度を上げるために形を四角くしているところが改良されている。物は試しということで、早速このナンヨウアブラギリを近くで調達してきた。


早速、使ってみようと思ったが、生の実が燃えるはずはないと気づき、発明者に携帯テキストを送って尋ねてみた。「Jaratを乾かして使わないと。1週間太陽の光で乾かしたらいい」と言われた。そらそうか。

しかし、そこまで待てないので、オーブンで無理に乾かしてみた。


水分が飛んでこんなに小さくなった。火をつけてみると、炭のように、炎を出さない燃え方をするようだ。しかし乾かし方が足りなかったようでうまく燃えず、、。

第一回目の実験は失敗。次は乾かし方を研究してみよう。

2011年4月16日土曜日

途上国政府による介入で貧困層にメガネが普及するのか?

スタンフォード・ソーシャル・イノベーション・レビューで、メガネをどのように途上国で普及させることが出来るのかという論文が出ていた。


安価なメガネを4ドルで販売するVision Spring、我々コペルニクのパートナーでもある、自分で度数を調整出来るメガネを販売するAdspecなどのアプローチを紹介し、寄附を集めた非営利団体のアプローチではなぜ大規模な成功を収めていないかを分析し、スケールを出すための提案をしている。

非営利では民間企業のような資金調達はできない。一方、ニーズはあるものの、価格と流通コストが問題で、需要と供給がミスマッチ。価格に関しては東ティモールで「人々はメガネに1ドル以上は払わない」という調査結果も紹介している。さて、そういうなかでどうやってメガネを普及出来るのか。

この論文では、コンドームの例を出して、途上国政府による補助金がカギだと結論をだしている。だが、これは眼鏡を大規模に途上国で普及させるための現実的な案だろうか。多くの途上国政府と働いてきた経験からも、これはかなり難しいと思っている。

というわけで、論文のコメント欄に以下の投稿をした。

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I am a co-founder of Kopernik (kopernik.info), the technology marketplace for the developing world. I enjoyed reading this insightful article, and wanted to share my thoughts on the role of the government to scale up eyeglass distribution in the developing world.

In my previous roles working for the UN, I worked with many governments in developing countries, and in most cases, they face major funding shortfalls and lack the necessary human resources and structure to manage and implement basic government services,. Typically the poorer the country is, the weaker its government is.

In such situations, betting on developing country governments to develop a policy to subsidize the cost of eyeglasses, allocate funds, set up the distribution mechanism is simply too much to ask for. There are chronic shortages of basic health facilities and health personnel in the first place. Life-threatening issues, such as HIV/Malaria/TB and vaccine programs are given priority, and even these areas do not get sufficient attention and funding. It would be difficult to imagine that a government in this situation would even consider allocating funds to distribute eyeglasses on a national scale. This doesn’t even happen in most developed countries.

Another thing to consider is that as many developing countries, especially the poorest ones, rely heavily on external aid, and often the big donors have a say in the government decisions. From my experience, such agencies would be hesitant to fund emerging solutions on a large scale, given their natural tendency to avoid risk.

Having said that, I have seen eyeglasses distributed by the government to victims of natural disaster, so it can happen, though it is rare. The point is that while government can play a role, it is unlikely to be a major player in the distribution of eyeglasses in developing countries, and thus unlikely to solve the scalability issue.

As you say, business is a critical player, but typically focused on more lucrative markets - not the poorest, more remote areas. The solution in reaching the last mile population therefore lies in the approach that is referred to in your article. Using philanthropic funding, non-profits can take risks and trial innovative approaches, and prove the positive impact on the people’s life. Non-profits need to be persistent, invent cost-effective distribution mechanism to the last mile using creative partnership with local NGO and microfinance institutions, demonstrate its impact with data, and continue to engage the government, aid community, and businesses, with patience. Non-profit in this scenario plays more active role in serving the unreached.

2011年4月15日金曜日

東ジャワ ミニ テクノロジーフェアの様子

エクソン・モービルとのパートナーシップで活動を行っている東ジャワ・ボジョネゴロには、去年の10月を皮切りこれまでに何度も足を運んでいる。そして今週いっぱいも、コペルニクのインドネシア人スタッフ、デディーが出張している。ミニ・テクノロジーフェアを開き、多くある浄水技術、調理用ストーブを紹介し、住民にとってどの技術が最も適しているかを見極めることが目的。

このエリアでの大きな課題である、水と台所まわりは、今まで、東ジャワで活動するさまざまな団体の対話の上で見えてきたもの。



以前も紹介したことのある、東ジャワのブラウィジャヤ大学の教授で、バイオマス調理ストーブを発明したヌル・フダ氏、そしてさまざまな浄水技術製品をアチェ販売している会社のスタッフも来て、一つ一つの製品についての説明を行った。


浄水技術については、政府の規制で定められている水質検査も終わっている。


このフェアのフィードバックを受けて、テクノロジーを決め、普及を始める。

2011年4月13日水曜日

ロンドンでの会議に招待される


5月26日、ロンドンでの会議にスピーカーとして招待されている。

会議はInternational Day of United Nations Peacekeepers 8th Annual Conferenceで、英国王立統合防衛安全保障問題研究所イギリスの国連協会が共催する。国連平和維持活動局を統括するLe Roy国連事務次長などが他のスピーカーで、すでにかなり緊張。ソマリアでの海賊の状況が午前中の議題の一つ。海賊を含むソマリアの問題などについては、国連時代に関わったことがあり、最近の状況を聞くのが楽しみだ。

午後は、平和構築を行っていくためには、どういった活動が必要かということを話し合う。その中でコペルニクの紹介をするという流れ。個人的にも、東ティモール、シエラレオネ、ソマリア、アフガニスタン、ネパールなど国連が平和維持・構築活動を行っている多くの国のイシューをカバーしたことがあるので、その文脈の中で我々の活動を紹介出来るのは非常に光栄だ。

3年ぶりに訪ねる英国。これを機に母校のLSE、友人の働く英国国際開発庁、アドバイザリー・ボードメンバーのいるオックスフォード大学も訪問する予定。特にオックスフォードではSkoll Centre for Social Entrepreneurshipを訪ねてみたいと思っている。

2011年4月12日火曜日

Power(film) to the People

コペルニクパートナーの一つである、PowerFilmが震災直後、自社のテクノロジーを寄付したいとオファーしてくれた。

この会社は、折りたたんだり、丸めたりできるパネルが売り。主に電気のないところで活動する軍隊でにニーズが高いようだが、途上国でもぜひ使ってほしいとのことで、去年の半ばあたりに我々のテクノロジーリストに載ることになった。





さて、今回の寄附は、単3・単4電池が太陽光で充電できるセットを48個。折りたためるソーラーパネルと、それに接続する充電器と充電池を、送料も会社負担で送ってくれた。未だ乾電池のニーズが非常に高い被災地で、太陽光で再充電できるこのキットは非常に役に立つだろう。これもプロジェクトとして我々のサイトに掲載した。プロジェクト名は'Power(film) to the People'

既に東京に到着しており、関税をまたかけられそうになったが、インボイスに寄付と明記していたので今回は無税で済んだ。今回もウインローダー様を通じて、被災地に届けられる。

2011年4月10日日曜日

NHKでコペルニクが紹介されております

NHK WorldのAsia 7 Daysという英語の番組で、コペルニクの活動が紹介されています。2月に東ティモールまでロケに来ていただき、多くのプロジェクトを撮影したものです。



ソーラーランプ、調理用ストーブ、Qドラム、トウモロコシ剥き機、浄水器などが取り上げられてます。アドバイザーの小木曽麻里さんもコメンテーターとして登場。


日本時間の今日4月11日午後2時半と午後6時半に再放送されるようです。こちらからストリーミングで観れます。

2011年4月9日土曜日

浄水技術テスト2

来週の東ジャワでのミニ・テクノロジーフェア―に向けて、浄水技術もう一つをテスト。

これは日本の日板研究所が開発したクリンカというもの。すでにジャカルタで行った浄水テストでは、非常に優れた効果を証明している。


難点は、セラミックなどが混じった砂のようなものがバッグに入っているだけなので、自分たちで重さを測るひつようがある。というわけで1リットル用、40グラムを測って、ストッキング(!)に入れて使ってみた。



東ジャワでもテストが進行中だ。

水の質は、場所・水源によって異なるので、どの浄水技術が適しているかも、場所によるのだ。

2011年4月8日金曜日

Japan Social Innovation Journalに寄稿


新しい学術誌、Japan Social Innovation Journalに'Entrepreneurship, Technology and Innovation in Poverty Reduction'というエッセイを寄稿しました。

お手すきのときにでも読んでみてください。



2011年4月7日木曜日

陸前高田市でソーラーランプ

昨晩、ウインローダー様より、メールが入り、コペルニクのとどけたソーラーランタンが陸前高田市での炊き出しで使われている様子を写真で送っていただいた。


[「わぁ、きれい!」「こんなに綺麗で、何だか嬉しくなるね」と、とても嬉しい声を沢山頂きました。]との現場からの声も届けていただきました。

炊き出しの後、ランプは全て避難所の方にお渡しされ、職員の方からも、非常に役立つとのお言葉をいただいたようです。



重ねて、ウインローダー様、皆様、ご支援ありがとうございました。

2011年4月6日水曜日

浄水テスト

現在、インドネシアの東ジャワで浄水と調理用ストーブテクノロジーを普及させるプロジェクトの準備を進めている。





インドネシアでは浄水技術を導入する前に、政府の水質検査場で、浄水技術のテストをして、安全性をチェックする必要があるのだ。先日、浄水テクノロジーの一つTulip Water Filterはのテスト結果がきた。



これによると(↓)、水に含まれる細菌などが基準値より低くなっていることがわかる。

場所

水源

テスト結果

処理前

処理後

Mojodelik

artesian well

20 Coli per 100mg ; PH 7; categorised as class A or “good” or “qualified”

<2 coli per 100mg; PH 7; categorised as “good”

Bonorejo

artesian well

2400+ Coli per 100mg; PH 7; categorised as class E or “very poor” or “unqualified”

<2 coli per 100mg; PH 7; categorised as “good”

Brabowan

artesian well

2400+ Coli per 100mg; PH 7; categorised as class E or “very poor” or “unqualified”

<2 coli per 100mg; PH 7; categorised as “good”

Begadon

artesian well

15 Coli per 100mg; PH 7; categorised as class A or “good” or “qualified”

<2 coli per 100mg; PH 7; categorised as “good”

Katur

hand pump wells

38 Coli per 100mg or above the limit

0 Coli per 100mg or qualified

Ringgintunggal

hand pump wells

96 Coli per 100mg or above the limit

0 Coli per 100mg or qualified

Gayam

hand pump wells

38 Coli per 100mg or above the limit

0 Coli per 100mg or qualified


来週、東ジャワでWater Tulipを含めたいくつかの浄水技術と、調理用ストーブなどを持って行き、実際に人々に使ってもらった上でフィードバックをもらうため、ミニ・テクノロジー・フェアを開催する。

結果が楽しみだ。

2011年4月5日火曜日

被災地支援プロジェクト 第3・4弾 寄付が集まり開始してます!

以前紹介した、被災地支援プロジェクトの第3弾・4弾の必要金額が集まり、プロジェクトが開始してます。このプロジェクトでは、ウインローダー様経由で、ソーラーライト600個と太陽光で充電できる補聴器(ソーラー・イヤー)50セットが、東日本大震災聴覚障害者救援宮城本部に届きます。日本元気塾とグローバル・アジェンダ・ゼミナールの有志の方々と共同で寄付を集めたこのプロジェクトにご支援をいただいた方々、本当にありがとうございました。

追って進捗をアップデートします。

2011年4月3日日曜日

緊急被災地支援プロジェクト第2弾の1000個のソーラーランプが被災地に届きました!

先ほど、ウインローダー様から連絡を受けた。緊急被災地支援プロジェクト第2弾で届けた1000個のソーラーランプが被災地まで届けられたとのこと。写真もつけてもらった。

ご支援いただいたかた、ウインローダー様、ありがとうございました!





コペルニク・フェロー Takuro便り15 charcoalプロジェクトが与えるインパクト

長い間、ケニアでコペルニクフェローとして活躍したTakuroは6か月のケニア生活を終え、日本に帰ってきました。彼がケニアを離れる前に書いたTakuro便り15です。

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原口@ケニアです。

今回は、Charcoal projectで得た収入がどれほどのインパクトがあるのかをレポートいたします。

まずは、既存の女性の収入源がどのような形で入っているのかを整理してみましょう。

Ⅰ既存の収入源

ケニアの田舎ではたくさんの女性が自分で資金を稼いでいます。その形式は、自分でビジネスをしたり、畑仕事したりと多種多様です。妻は家事や子供の面倒を全て見なければいけないのに夫には他の妻がいたり、稼いだお金の一部しかサポートしなかったりと夫に頼っていては生活できないという背景があるのでしょう。

まずは、以下の図を見てください。ケニアの田舎では女性の資金状況はピラミッドのように考えることができます。ピラミッドの上部(Top of Pyramid)では、非常に限られた人が雇用されて高額のお金を得ています。ピラミッドの中部(Middle of Pyramid)では、雇用はされてはいないが、自分でビジネスをして収入を得ています。ピラミッドの下部(Bottom of Pyramid)では、自分でビジネスが出来ないため、短期的に雇用されて資金を稼いでいます。


実際は、上記のように明確に分けることはできない可能性がありますが、説明の都合上、上記の3つに分けました。

Top of Pyramid

この層は、雇用されて高額な給料を貰っている女性を指します。例えば、Primary schoolHigh schoolの先生、Government officer、地元の大きな会社で働いている人。

給料(最低額)

働くための条件

Primary schoolの先生

15,000Ksh/

High school後、専門学校を卒業する必要があり。

High schoolの先生

30,000Ksh/

High school後、大学の教育学部を卒業する必要あり。

Governmental officer

15,000Ksh/

上記の給料は1年目での月給となっています。そのため、働く年数によって給料も上昇します。

また、どの職でも高校を卒業している事がマストとなっています。しかしながら、高校に入学できるかどうかはその家の家計状況に依存し、多くの貧しい家庭では高校に入学できない、または途中でドロップアウトしてしまいます。

Middle of Pyramid

さて、High schoolを卒業したが職を得られない、またはHigh school (Primary school)を途中でドロップした女性はどうするのでしょうか?という質問に対する答えの1つがこの層です。この層では、自分たちでビジネスをして資金を稼いでいます。

<ビジネスの種類>

女性のビジネスは主に、Farmer RetailerMaker3つに分かれます。

1. Farmer



上記のように、肥料やトラクターによる農耕等適切な方法で育てると、1season13,000Ksh23,000Kshほどの利益を、1年に2つのseasonがあるので、1年間に26,000Ksh46,000Kshの利益を上げることができます。利益率も60%を超えています。ただし、これは理想的な方法であり、お金に余裕がない人は肥料を使用しないのがとても普通であるため生産量が落ちます。

2. Retailer

インタビューした中で一番多かったビジネスがリテールビジネスです。リテールビジネスとは、物をある場所で購入して、それを違った場所で売るというビジネスです。


K-lightのインタビューで一番多かったのがこのリテールビジネスです。リテールビジネスは、食べ物、日用品、衣服、薬といったように様々な物がTownから村へと流れてきます。

実際のインタビューで出会った人の情報をまとめてみます。

(この情報は場所、時期、資金状況によって変わりますので、一概に全て正しいわけではありません。1つの情報として捉えてください。)


ローカルマーケットでトマトを売っている。


キオスク


薬局

3. Maker

最後はメーカーです。メーカーとは何かの材料に付加価値を付けて新しい物を開発して売るというビジネスです。


ここでは3種類のメーカーを説明します。


家の中でこっそりお酒を造ります。


フライドポテト


仕立て屋

<ビジネスを始められる条件>

さて、上記のビジネスは、やろうと思いついて明日からできるものではありません。ビジネスを始めるには初期コストをクリアすることが必要です。

1. 親が畑を所有しているかどうか?

もし、Farmerとしてビジネスを始たい場合は畑を持っているかどうか決め手になります。つまり、親が畑を持っていない場合は新しく畑を購入するか、または借りる必要があります。しかしながら、畑を新しく購入するのは1エーカ60,000Kshもするため現実的ではありません。そこで、残る手段である畑を借りるということになります。この場合は2seasons(1)2,500Kshを支払って畑をレンタルすることになります。

2. 初期コストをクリアできるほどの資金を持っているかどうか?

もし、RetailerまたはMakerのビジネスを始めたい場合は、そのビジネスを始める際に発生する初期コストを支払うことができるかどうかとても重要となってきます。Retailerの場合はストックを購入するためのコスト、Makerの場合は、商品を作るための道具のコストです。

<初期コストを解決するための手段>

さて、これらのビジネスを始めるためには初期コストが掛ります。予め資金がある人は別としてどのように初期コストの壁を乗り越えているのでしょうか?2つの方法があります。 

Micro finance

1つはお馴染みのMicro financeです。Micro financeを行っているのはケニアの銀行です。そのため、Micro financeを利用するには担保が必要ということです。田舎の貧しい人は担保がないことがほとんどなので、以下のMerry-go-roundというSaving clubを利用します。

Merry-go-round (Saving club)

Merry-go-roundは田舎で代表的な貯蓄システムです。ほとんどの人がのSaving clubに参加してお金を貯蓄しています。メンバー数は5人から20人ほどから成り立っています。まずは、お金を出し合う頻度とお金の額を決めます。この2つを決めたら、Merry-go-roundが始まります。

Merry-go-roundという名前の通り、毎回メンバー全員からお金を貰う人が変わっていきます。例えば、5人のメンバーが2週間に1100Ksh出し合うと決めた場合は、最初の人が4人と自分から500Kshを貰います。2週間後は、次の人が4人と自分から500Kshを貰います。というように、お金を貰える人がMerry-go-roundのように回っていくからこの名前が付けられました。

Bottom of Pyramid

最後にピラミッドの最下層の人々です。多くの人は、他人の畑を耕すこと(Digging)によってお金を得ています。仕事時間は早朝7時から10時までの3時間だけです。得られる収入は3時間あたり70Kshほどです。日曜日を除いて1週間に6日働くとすると、1ヵ月で1,820Kshほどの収入を得ることが可能です。

しかしながら、Digging2つの困難があります。

1.不安定な収入源

Digging1年を通して毎日働けません。ケニアでは雨季が2回あり、それに合わせてトウモロコシ等の種まきが行われます。

Diggingが必要なのはまさに種まきをする前 (1, 2, 3, 6, 7, 8,9) で、それ以外の期間では仕事を得るのがとても難しいというのが状況です。そのため、1年を通して資金を安定して稼ぐのがほぼ不可能となっています。満足にお金を稼げていないため、Basic needsを満たしていない事がしばしばあります。例えば、毎日夕食を食べれかったり、Keroseneランプを使用できなかったりと。

このような状況のため、自分でビジネスをするための資金を貯めることがとても困難となります。実際にインタビューでは、“なぜ自分でビジネスをしないのか?”という問いに対して、資金がないからという答えが返ってきました。

2.生涯変わらない収入

自分でビジネスをすれば努力次第で、収入を上げることも可能です。しかしながら、Diggingの場合はどんなに頑張っても収入は上がりません。

ちなみに、早朝Diggingをして夕方からローカルマーケットで自分のビジネスをするという人もいます。しかしここでは、Diggingしか収入源がない人にフォーカスしています。


Charcoal Projectが与える影響

さて、私がCharcoal projectのターゲットを定めているのが、ピラミッドの下層に位置する畑仕事で収入を得ている人々です。さて、炭を売り出すとどのような変化が起きるのでしょうか?

<収益モデル>

炭の作成は上記のカテゴリーでMakerのカテゴリーに当たります。まずは、D-Labで開発された炭と木炭を同じ重さで比較してみます。

1.コスト

1.1 初期コスト

D-Labの炭は、ドラム缶とコンプレッサーが必要なことから初期コストが約2, 100Ksh発生します。一方、木炭の作成には、木材を地中に埋めて燃やすことから初期コストが発生しないことが特徴です。

1.2 ランニングコスト

ランニングコストを見てみると、D-Labの炭はキャッサバが主要なコストであることが分かります。西ケニアではキャッサバが至る所で栽培されており、安価な値段で売られています。ドラム缶1つあたり1ゴロゴロのキャッサバ(30Ksh)が掛ります。一方、木炭の方は木材を使用しているためその分高価になります。森林の面積はケニア全土で1.7%という低さからケニアでは木材はそれなりの値段で売買されています。

・キャッサバ:30Ksh

・製粉機の使用量:7Ksh


1.3 交通費

木炭はほとんどのケースで自転車によって運ばれている事から、自転車がある限り交通費をゼロに抑えることができます。


2. 利益

-炭@D-Lab

ドラム缶1つで炭を作るとどれほどの収入を得られるかで考えてみます。西ケニアでは炭は、50100Kgの袋やゴロゴロと呼ばれる小さな入れ物によって売られています。現在、ゴロゴロ一杯の木炭は3040Kshで売られています。そのため、D-Labの炭は20Ksh30Kshで売ることが可能です。さて、ドラム缶1つでどれほどの利益を得ることができるのでしょうか?これは、

ゴロゴロを一杯にする炭のブロックの個数からドラム缶1つの利益も分かります。1ゴロゴロを一杯にする炭の個数は約20 個ほどです。ドラム缶1つで100個前後のブロックを作ることができるので、ドラム缶1つは5ゴロゴロ分ということになります。ゴロゴロ1つは20Ksh30Kshなので、ドラム缶1つでは100Ksh150Kshの収入を得ることができます。一方コストは上記で述べたとおり、ドラム缶1つで30Kshのキャッサバと7Kshの製粉機の使用量が掛ります。よって、ドラム缶1つあたりの利益は、63Ksh113Kshとなります。また、100Kg の袋を満たすにはドラム缶6つ分が必要となることから、利益は、378Ksh668Kshとなります。

さて、100Kgの袋からどれほどの利益が生まれるかは分かりましたが、月にどれほどの利益を生むのでしょうか?仮にマテリアルが十分にあったと想定して、1週間にドラム缶6つ分の炭を作成したとします。すると、1ヵ月でドラム缶24個分の炭を作ることができます。ということで、1520Kshほどの利益を上げることができます。当然ながら、本人の努力次第でこれ以上の利益を上げることも可能です。

次に利益率を見てみると、他のビジネスと比較しても利益率が高いことが分かります。これは、炭を作成するに当たってキャッサバ以外材料をタダで得られるからこそ得られる数値です。

ちなみに、使用する材料によりドラム缶1つで生産されるブロックの数が変ります。トウモロコシの芯の場合は、ドラム缶1つあたり200個ほどの炭のブロックができるので、利益もほぼ倍となります。

-木炭

木炭は100Kgの袋が700Kshほどで売られています。木材は割高であるため、700Kshの内400Kshが木材のコストで300Ksh が利益と利益率も43%と炭@D-Labと比較しても低い値となっています。月あたりで換算すると、仮に1週間に1100Kg の袋を作成したとすると、月に1,200Kshの利益を上げることができます。

木炭の製造

<炭ビジネスのインパクト>

さて、このCharcoal projectはピラミッドの底に位置している人達にどのようなインパクトを与えるのでしょうか?

・安定した収入源

Diggingは季節により働ける日と働けない日があります。そのため、安定して収入を得ることができません。このような状況で炭ビジネスをすることにより、安定して収入を稼げるようになります。Diggingと炭ビジネスの月あたりの利益を並べてみると以下のようになります。

利益/

Digging

1,820Ksh

Charcoal

1,520Ksh

Diggingは早朝の3時間だけなので、午後から炭の作成に取り掛かることもできます。ということで、DiggingCharcoal businessから最大3340Kshほどの利益を上げることができます。これは、上記で述べた仕立て屋にほぼ匹敵します。Diggingができない月でも炭を売ることによって1,520Kshほどの利益を上げることができます。

まとめると、Charcoal business1つの大きなインパクトは1年間安定して利益を得られる点です。

・収入を拡大できる可能性

Diggingは収入を上げることができませんが、炭ビジネスは長期的に収入を拡大できる可能性を秘めています。例えば、現在はドラム缶1つしかありませんが、長期的にはドラム缶を2つ購入することにより生産性を挙げることもできます。