2010年3月31日水曜日

途上国における携帯電話の可能性

今日はノキアが主催する、途上国における携帯電話の可能性についてブレストするイベントに呼ばれて参加してきた。

今後のノキアのサービスを考えるために様々な分野での「エキスパート」を集めて、保健、教育、生活、アドボカシー、そして危機への対抗力(resilience)の分野での課題とICTの可能性について考えるというもの。マンハッタンのミート・パッキング地区のホテルで、ノキアの職員などのファシリテーションで約6時間のセッション。

参加者は、コロンビア大のEarth Instituteの研究者、Frontline SMSの代表、ユニセフの職員、エネルギー関係のNGO代表、グラミーン財団のICT担当者、Endeavorの代表、クリントングローバルイニシアティブの職員、カリフォルニア大の教授、などなど。

私は、特に、災害・紛争前・後のICTの可能性について話し合うチームに入った。一緒のチームのメンバー一人とかなり意気投合。

この後、ヨーロッパ、南アフリカで同様のイベントを行うらしい。

日本の会社でこのようにオープンに将来の可能性についてブレストするところはあるのだろうか。

海外に流出したシエラレオネ人を呼び戻す取り組み

アフリカの多くの国では、頭脳流出ともいわれる現象が起こっている。シエラレオネでも、紛争中に約30%の教育を受けた国民が国を離れ、イギリスやアメリカに移住したとされている。

当然のことながら、この現象はシエラレオネという国の持つリソースに重大な影響を与えている。というわけで、シエラレオネにいた時に、この海外に流出したシエラレオネ人(Diaspora)をなんとか一時的にでも呼び戻し、国の発展に寄与してもらうというプロジェクトを立ち上げた

さて、なんでこんな話をしているかというと、今朝このプロジェクトについてのビデオが送られてきたから。ちょうどNYに異動した直後に、能力開発(Capacity Development)のドキュメンタリーを作っている同僚から、いいプロジェクトが無いかと聞かれこのシエラレオネのプロジェクトを推薦したという経緯がある。一緒に仕事をした政府側の代表(Michel)やUNDPの同僚(Sylvia)が映っていて少しうれしくなった次第。

2010年3月30日火曜日

点字ラベル作成機

ついさっき、MITのGlobal Challengeの担当者LHT氏と話していた時、こんな発明を教えてもらった。その名も6Dot

点字が6つの点の組わせからなることからきている。目の見えない人達が、モノに点字ラベルをくっつけて判別しやすいように出来る機械。今年の秋ごろから生産体制が整うという。

WHOによれば、開発途上国で目の見えない人は約3500万人。

Solar Earを発明した、ハワード・ワインスタイン氏の言葉を思い出す。「貧困で、ひとり親世帯で、さらに聴覚障害を持つということは非常な苦境だ」。これは視力についても同じことが言えるだろう。

発明者をLHT氏に紹介してもらったので、早速コンタクトを取ってみよう。

2010年3月29日月曜日

4月2日のイベントのお知らせ Japan Business and Technology Roundtable at the Fletcher School

イベントのお知らせです。SIさんの計らいで、私もパネルに参加することになりました。ボストン近郊の皆さま、是非ともご参加ください。

タフツ大学フレッチャースクールは、4月2日(金)に「Japan Business and Technology Roundtable: Japanese Corporations and Bottom -Of-Pyramid (BOP) Business」と題し、フレッチャースクールの学生のほか、在ボストンエリアの日本企業関係者、NGO関係者、ビジネス・テクノロジー・開発・環境などに関心のある研究者・学生などを対象とした、貧困層(Bottom-Of-Pyramid, BOP)ビジネスに関するセミナーを開催いたします。

参加をご希望の方は、ここから、またはこのメール末尾のフォームより jbtr2010@gmail.com 宛に、前日までに登録をお願いいたします。

日時: 2010年4月2日(金)15:00~17:30 (14:30受付開始) 
場所: タフツ大学フレッチャースクール ASEAN Auditorium, 160 Packard Avenue, Medford, MA 02155, USA
主催: The Fletcher School of Law and Diplomacy, The Hitachi Center of Technology and International Affairs
後援: 在ボストン日本国総領事館, The International Business Center, The Center for Emerging Market Enterprises, Tufts Gordon Institute

※ 参加費無料

【開催趣旨】

現在、環境破壊や温暖化ガスの排出削減など途上国が抱える様々な問題を解決するとともに、40億人と言われる途上国の新たな市場に日本企業が参入する手段として、BOP戦略が注目を浴びています。

BOP戦略とは、世界の貧困層に向けて商品やサービスを提供する新たなマーケティング戦略のことであり、日本企業がその強みを発揮して利益を獲得すると同時に、草の根レベルから途上国が抱える問題を解決することにも繋がるものです。

例えば最近ではフィリップスが低額な調理用ストーブをインドで販売することにより、薪の消費量を削減し、森林の保全に役立ったという事例があります。

他方、現地におけるパートナーの不在や、現地に関する情報の不足などにより、日本企業が積極的にBOP戦略を展開していくことは困難であるとの指摘もなされているところです。

そこでタフツ大学フレッチャースクールでは、実際に国際機関やNGOで途上国援助に携わっていた教授陣や学生などの協力の下、日本企業がBOP戦略を展開するにあたって、どのような方法によりこうした障害を乗り越えることができるのかに関するセミナーを開催することとしています。

また、セミナーにはフレッチャースクール関係者のほか、NGO関係者、ビジネス・テクノロジー・開発・環境などに関心のあるボストンエリアの研究者・学生も数多く参加する予定であり、懇親会などを通じて、日本企業関係者がこうした方々と交流する機会にもなるものと考えています。

【当日のスケジュール】

14:30 - 15:00 受付
15:00 - 15:15 開会・基調講演(Prof. Partha Ghosh, Visiting Professor of Strategic Management, The Fletcher School of Law and Diplomacy)
15:15 - 15:30 プレゼンテーション1:BOPビジネスとNGOの役割(Mr. Toshihiro Nakamura, Co-Founder, Kopernik)
15:30 - 15:45 プレゼンテーション2:日本企業の経験(Mr. Yushi Akiyama, Representative and Senior Manager, Hitachi Corporate Office)
15:45 - 16:00 プレゼンテーション3:開発途上国にとってのBOPの意義(Prof. Jenny Aker, Assistant Professor of Development Economics, The Fletcher School of Law and Diplomacy)s
16:00 - 16:30 コーヒーブレイク
16:30 - 17:15 パネルディスカッション・質疑応答
17:15 - 17:30 総括・閉会

※ 使用言語は英語。
※ コーヒーブレイク及び閉会後には、参加者同士でご交流いただけるようスナックと飲み物(アルコール以外)をご用意いたします。

===
参加登録フォーム(
jbtr2010@gmail.com 宛に登録願います。)

・氏名(日本語標記)(必須)
・氏名(英語標記) (必須)
・米国での所属
・日本での所属
・メールアドレス(必須)

2010年3月27日土曜日

NYに戻る

さて、2週間以上にわたる日本への出張を終え、今朝NYに戻った。報告した大阪でのイベントラプロパックさんへの訪問友人の結婚式以外にも多くのイベントが盛りだくさんだった充実した出張になった。例えば:

これ以外にも、新しい人との出会いや、新しいプロジェクトの発足、今後のパートナーシップに向けた多くのディスカッションがあった。

詳しくは今後のブログで。

2010年3月25日木曜日

テクノロジーと女性の経済地位向上の関係


テクノロジーが発展途上国にとってどういう効果をもたらすかを、女性の経済的地位向上の観点からまとめた報告書がある。International Center for Research on Women (ICRW)がまとめたものだが、太陽光で果物や野菜を乾かす装置や、足でこぐ水ポンプ、携帯電話などのテクノロジーが、いかに女性の生産性を向上させ、経済的機会を増大させるかについて記述されている。

この結果を踏まえて、アショカのChangemakersWomen, Tools and Technologyというお題でアイデアコンペを行っている。しばらく前にそのアショカさんに誘われて、Kopernikもパートナーとして参加することになった。これを機に他の協業の可能性について色々とアイデアが出てきており、今後が楽しみ。Stay Tuned!

2010年3月24日水曜日

IDEA Internationalさんから頂いたライトがシエラレオネの病院に届く


ETICを通じて、イデア・インターナショナルさんには、色々とお世話になっているが、今回はその一例を。

約30秒間振ることによって発電し、8分間使用できるダイナモトーチライトを今年の初頭に32個寄付していただいた。それが今月シエラレオネのPrincess Christian Maternity病院に到着。

シエラレオネは、ごく最近まで平均寿命が40歳に満たなかったという国。戦争中に約80%の病院が破壊されたと言われ、されに人口600万に対して、医者の数が50人ほどという状況。首都でも未だに電気が殆ど通っておらず、しばしば手術を旧型の懐中電灯の明かりを使って行ってきたが、このライトでは電池を買い替える必要もない。

    

ランプを手にした看護婦さんたちは、ランプの電気の持ちの長さに驚いていた。イデアさん、ありがとうございました。

2010年3月23日火曜日

ナイジェリアの農村部の学生たちに明かりを!

さて、3月初頭に「今月のプロジェクト」というものを始めた。各月に1つプロジェクトを選び、ウェブフィーチャーするというもの。最初の「今月のプロジェクト」はK Lightを使ってナイジェリアに明かりをもたらすプロジェクト


今までで900ドル集まり、目標の5000ドルまで後4100ドル。下の'Donate Now'ボタンをクリックすると、直接ペイパルのサイトに飛び、クレジットカードで寄付が出来ます。ご支援よろしくお願いします!


リクエストされたテクノロジー:

150 K-Lights

提案書の予算:

$5,000

解決すべき問題:

Igbotakoでは電気が殆ど通っておらず、かつ、多くの家庭が発電機や灯油ランプを買うことが出来ないため、子供たちが日没後勉強をすることが出来ない。さらに、発電機や灯油などを使った場合でも、一酸化炭素が排出され、死亡を含め健康上大きな被害を与える。

テクノロジーがこの問題をどのように解決するか?

K-light 太陽ランプは農村部の家庭、特に子供たちに対して明かりを供給できる。K-lightsによって、健康上のリスクと灯油や発電機に支払うコストが抑えられる。このテクノロジーはIgbotako地域の学校でトップ10且つその他の最低履修条件を満たした150人の生徒に無料で配布される。約150人の生徒とその家族を含めて1000人の受益者が見込まれる。

2010年3月22日月曜日

Kopernikがオーストラリアのラジオにインタビューされました



Co-FounderのエヴァがオーストラリアのNHKにあたるABCのラジオにインタビューされた。(当然と言えば当然だが、インタビューを行った方はかなりのオーストラリアアクセントをもっている、、、)

録音されたものはこちらからダウンロードできます。

2010年3月21日日曜日

携帯電話を使った識字教育

今回は、パキスタンのユネスコ事務所で働く宮沢一郎さんにゲスト投稿していただきました。


パキスタンの読み書きができない人の数は約6千万人、これはフランスやイギリスの人口と同じです。そして読み書きができない人の7割は女性です。

「携帯電話のSMSメッセージを使って、あまり外に出る機会のない若い女性に読み書きを楽しく習得してもらい、しかもみんなで繋がってもらおう。」これがこのプロジェクトのコアです。

基本の読み書きを識字センターで1ヶ月習ってもらい携帯電話を渡し、その携帯電話に毎朝、昼、夜とSMSメッセージを何度も送ります。彼女達はそれらを受け取り、何度も声を出してそれを読み、ノートブックに書き出します。メッセージの内容はイスラム教に関するものだったり、生活・健康に関するものです。

彼女達もメッセージを識字センターの先生に送ったり、友達同士で送ったりします。このコミュニケーションが楽しくて癖になります。最低、週に1回は識字センターにきて先生に質問したり、テストを受けたり、読み書きの力がどのくらい向上しているかチェックします。

プログラムが終わる5ヶ月後には彼女達の読み書き能力は大きく向上しています。スタート時は読み書き能力が中級者が1割のみでしたが、4ヵ月後には上・中級者が9割に達しました。なにより心強いのは彼女達の自信に満ちた笑顔です。読み書き能力が著しく向上することと、みんなと繋がっている嬉しさです。

プロジェクトは試験的で小規模ですが、パキスタンの最大手携帯通信会社のMobilink、地元のNGO、UNESCOで実施しています。現在拡張中です。

繋がっていたい、コミュニケーションしたい若い女性達、携帯のユーザーを増やしたいMobilink(現段階はCSRとして参加です)、識字を広めたいNGOとUNESCOの興味をつなげました。


女性一人あたりのコストは55ドル。参加者が増えれば45ドル以下になります。現在このコストはUNESCOとMobilinkが負担しています。今後の課題はコストをどう学習者が負担していくかです。究極的にはMobilinkと学習者のみの関係にならなければ、何千万人のという人にサービスが行き届くことはありません。

月2ドルで2年ローン、学習者にとって決して払えない額ではありません。仕組みづくりが鍵になります。

通信費はもっと下がり、Wimaxや3G、高性能携帯電話も5年以内に彼女達の手の届くところにくるでしょう。通信を利用して楽しみ、繋がり、知識を得たりしながら識字が拡充していきます。そして彼女達が生まれて来る子供に読み書きを教えるでしょう。

宮沢一朗
UNESCO Islamabad
Blog: 教育開発の仕事
http://miyaichi.seesaa.net/
Twitter: miya160

2010年3月20日土曜日

一期一会

今回の帰国は、実は友人の結婚式に参加することが発端となった。

新郎・新婦とも実は公私ともどもお世話になっているカップル。新郎OKさんは、マッキンゼー時代からの知り合いで、インドネシアで始めたUNDPのGSBプロジェクトにもスペシャル・アドバイザーとして就任してもらったり、コペルニクのアドバイザリーボードにも入ってもらったりと頭が上がらない。新婦KSさんは私がGSBプロジェクトにずるずる引き込んで手伝ってもらったという経緯もあり、一応キューピッド役を果たしたようだ。国連フォーラムの「私の提言」プロジェクトのメンバーとしても、多大な貢献をしていただいている。

この2人の出会いといい、私とこの2人の関係といい、一期一会とは良く言ったもの。

末長くお幸せに。

2010年3月18日木曜日

ラプロパックさんを訪ねる

東京に着いてからは色々予定を入れすぎてブログ更新を怠っているが、今回は先日のラプロパックさん訪問について。株式会社ラプロパックは、真空成型に特化したプラスチックパッケージをデザイン・製作する会社。

羅さんとは、ひょんなことからご縁があり、日本での中小企業を今後途上国向けの技術・製品開発に巻き込んでいくための勉強をさせていただくべく訪問した。社長と取締役の羅さん親子、そして従業員の皆さまに本当に暖かく向けていただいた。


まずは、会社の成り立ちや、プラスチック加工の基本、そして、ラプロパックさんの様々な革新的デザインについて教えていただいた。包装と一言に言っても非常にきめ細かなデザイン思考がちりばめられているのだ。例えばコンピューターのハードディスクを運搬するための包装は、運搬の際のショックを最大限に抑え、かつ運搬がしやすいようにパッケージ同士が上手く重なるようなデザインが施されている。


持参したQドラムなどのデザインや、改良の可能性についても多くのアイデアが出てくる。さすがにデザインを本業としている方は目のつけどころが違う。さらに工場も見せていただいた。埃1つ無い、整然としたスペースで、従業員の方々が真剣に仕事をしている。加工のプロセスの技術的な話などをしていただいた。


その後、プライベートカウンターでのお寿司までごちそうになる。本当に、本当にお世話になりました。

2010年3月17日水曜日

「発明者に聞く」シリーズSolvattenのペトラ・ワドストロムさん


「発明者に聞く」シリーズ、今回は水をきれいにするSolvattenを発明したスウェーデンのペトラ・ワドストロムさんです。原文はここから。

途上国が直面している重要な課題の一つとして衛生的で安全な飲料水へのアクセスがあげられる。世界の12億の人々が安全な飲料水を手に入れることができず、年間160万人が水系伝染病を原因とする下痢により死亡している。これらの多くは5歳未満の子どもである。

Solvattenは、太陽のエネルギーを利用して汚れた水を安全な飲料水に変えていく水容器である。簡易な技術構造のSolvattenではあるが、途上国の貧困コミュニティに与える影響は大きい。太陽光発電による浄水器は使い方も簡単で、10リットルの水を2つのタンクに入れて太陽の下に数時間放置し、その後浄水された水を汲むだけ。この機器は、携帯型太陽光電熱器としても利用することができ、家庭での湯沸かしや煮沸器として衛生面の改善にも役立てることができる。

スウェーデン語で「太陽の水」を意味するSolvattenは、非常にシンプルな解決手段に見えるが、実際には11年の月日をかけて研究と試験を重ねて完成された商品である。スウェーデン人発明者のペトラ・ワドストロム氏 は、自身が貧困国で汚れた飲料水の問題に取り組んだ経験から、水問題の解決に貢献したいという意欲を持ち、Solvattenを開発するに至った。

「危険な水と病気と常に隣り合わせで生きている姿を想像し状況を理解するにつれて、女性や子どもでも使いこなせるような簡単な手法による解決手段を模索するようになったのです。」とワドストロム氏は話す。まだ設立3年目のSolvattenABだが、既にきれいな水の確保という課題に対して持続的かつ実践的な解決方法を示す企業としての地位を確立しつつある。

これまでの灯油、木炭、薪などを燃やして水を沸かすという伝統的な方法と比較しても、より環境に配慮し費用対効果の高い仕組みのSolvattenは、途上国の人々の健康と暮らしの向上に対して直接的で即効的な効果を与えるといえる。

ワドストロム氏は、人々が途上国で解決しようとしている課題に対して新鮮な視点を持つことが必要だと考える。「学校の教師や生徒が異なる角度から問題を見ることを奮起し、さらにSolvattenの経験をきっかけに、気候変動、生物、数学、社会関係が抱える様々な課題についても議論を広げてほしいという願いがあります」と語る。

現在、SlovattenNGOのマイクロファイナンス手法と助成金を利用することで主に配布されているが、長期的には利用者が直接商品を購入するビジネスモデルが適用されることをワドストロム氏は望んでいる。

ネパールとケニアの団体と共に活動するSolvatten社の掲げる主な目標は、薪使用からの転換によって森林伐採を減らし、ミレニアム開発目標達成に貢献することである。ワドストロム氏は「課題に対して新鮮な視点を持ち込み、途上国で特に必要とされるテクノロジー」を提供するコペルニクのような取組みを評価している。


[訳・渥美(八木)恵里子さん]

2010年3月14日日曜日

大阪でコペルニクを紹介

大阪のJAEの佐伯さんとSocial Innovation Osaka (SIO) ネットワークの施さんのお計らいで、昨日大阪でコペルニクの紹介をする機会をいただいた。場所は難波花月のすぐ隣というすごいところ。たこ焼きを食べる人を横目で見ながら場所に到着。

今回はQ DrumとSolvattenなどかさばる製品を持ってきているので、電車や人ごみの中で、皆にこれは何だろうという不思議そうな目で見られる。


さて、肝心のイベントだが、訳20人の方々に集まっていただき、Cozyなお部屋でプレゼンと質疑応答を約2時間。非常にレベルの高い議論が出来、私としては非常に満足。

皆さまありがとうございました。

2010年3月13日土曜日

「発明者に聞く」シリーズ K-Light[太陽発電ランプ]のデイル・ウィリアムス氏


ルワンダの夜、灯油ランプが灯され緑の大地に光が揺れ動く風景が広がる。この灯火のお陰で家族は夕食を作り、商売は途絶えることなく継続し、学生たちは読書を続けることができている。しかしながら、密集した住居環境で灯油ランプを燃焼させた際に体内に吸収される煙の量は、1日当たり煙草40本分の煙の吸収量と等しいほどと推定されている。

この事実に衝撃を受けた医学博士ウィリアムス氏は、ルワンダの状況に失望するでもなく、むしろ手ごろな価格で耐久性のある太陽光発電ライトの開発により問題を解決できないかということを考えた。ウィリアムス氏は、「人々は年収の14%を電灯や調理用の灯油の購入に充てています」と述べ、「私たちは、これまで年月をかけて長時間稼働可能なライトのデザイン開発を手掛けてきました。肝心なことは、一度彼らが太陽光発電ライトを所有すれば、もう燃料を購入し続ける必要がなくなり、結果的に家計の出費を節約することに繋がるということです」と説明する。

ウィリアムス氏の太陽光発電会社「ピサット」は、途上国向けの新興太陽光発電ライト市場の試験的な導入先としてルワンダを選んだ。またライトの分配方法は、グラミン銀行の例を参考に女性に焦点を当てることとした。「最初の規則として女性がお金を管理することを定めました」とウィリアムス氏は述べる。「私たちは、ルワンダの女性グループと一緒に働いています。グループに各6個のライトを提供し、彼らはそのライトを販売することでさらに多くのライトを購入することができるようになるのです。女性たちは皆、非常に上手くやっていますよ」

現在、ウィリアムス氏は太陽光発電ライトをケニア・タンザニア・ウガンダへも配布することで事業の拡大展開を計画している。さらには、学校施設へのライト供給という大きな挑戦を試みている。「私たちは学校向けの太陽光発電装置の提供に向けて動き始めています。ルワンダの教育省との話し合いも予定されています」と語る。ここまでを動かすものは何だろうか? 「ルワンダのある学校に太陽光発電装置を設置したところ、生徒の中にはこれまで電気に触れたこともない、コンピューターを見たこともない子どもたちがいました。機器に電源を入れた瞬間に生徒たちの表情が笑顔で一杯になったのを見て、これこそがやりがいであり価値のあることだと思ったのです」と話した。

小さな一歩から今、大きな将来像を見据えている。調査によると、灯油ランプから太陽光発電ライトへの乗り換えは、人々の健康と暮らしの向上に対して、直接的かつ即効性の高い効果をもたらすとされている。「例えば、太陽光発電ライトの導入により生徒が以前にも増して勉強するようになるなど、人々の生活水準をほんの少し向上する事に貢献することができます。もし、同様のことを100万人の人々に対して実施することができれば、素晴らしいと思うのです!!」とウィリアムス氏は話した。

(訳は八木[渥美]恵理子さんに手伝っていただきました。ありがとうございます!)


2010年3月12日金曜日

海外メディアの反応その2

海外メディアの反応がさらに続いております。日本のメディアにもぽつぽつとコンタクトされるようになりました。ご支援ありがとうございます!

Fast Company Logo

11 March 2010
"Copernicus changed the way people viewed the world. Kopernik is changing the approach to development"

change observer

10 March 2010
Kopernik
“A new website follows the increasingly familiar model of funding socially progressive design and technology projects a few dollars at a time.”

gunther
9 March 2010
Amazing Gadgets for the Poor
“…breakthrough products, all of them invented in the last 5 o 10 years, are examples of what can be done when technology is designed for the poor.”

Greenbiz
8 March 2010
Amazing Gadgets for the Poor
“We became bothered by the lack of innovation and new ideas in solving development challenges. It was the same people and the same projects being tried from place to place."

justmeans
6 March 2010
Kopernik: New Social Enterprise Marketplace
That's where startup Kopernik comes in. Founded by two ex-UN staff members, Ewa Wojkowska and Toshi Nakamura, Kopernik is a marketplace for what the duo calls life-changing technology. Their site promotes matchmaking between NGOs and other social change organizations with specific needs and the makers and designers of products-for-good.”

causeintegration
5 March 2010
Kopernik; Connecting Technology Providers With Technology Seekers
“Take a look at this new Cause Integrated company, Kopenerik. Kopernik connects innovative technologies, poor communities & individual donors to help facilitate the transfer of these technologies to the communities that need them. “

poptech
3 March 2010
A Marketplace for BOP Products
“With so much ingenious technology being developed by social entrepreneurs around the world, one of the great remaining challenges is figuring out how to make it available to the people who need it—first by letting them know that it exists, and then by raising the money to pay for it.”

2010年3月11日木曜日

[「大学」×「技術」×「BOP」- 日本発、世界を変えるイノベーション]イベントのお知らせ

昨晩大阪に着きました。結構寒いですね。

さて、この度、いつもお世話になっている、D-Lab Japanのチームが「大学」×「技術」×「BOP」- 日本発、世界を変えるイノベーションと題しました一般公開シンポジウムを開催致しますので、ご連絡致します。ふるってご参加ください!

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貧困を始めとする、地球規模の様々な社会問題の解決が求められている中で、世界のトップ大学を中心に「技術」と「国際開発」を組み合わせた実践的教育が注目されています。技術立国を目指し、世界の課題解決を使命とするわが国でも、グローバルリーダー育成、実効性のある国際貢献、さらなる産学官連携に取組み、新たな理工学教育のあり方を世界に発信することが必要です。

本シンポジウムでは、その第一歩として、マサチューセッツ工科大学(MIT)の途上国開発に寄与する先進的講義(D-Lab)、そして日本の大学、産業界における取組みを紹介し、日本で進めるべき理工学教育・産学連携のあり方を考えます。詳細は下記のとおりとなっております。

ご多忙の折とは存じますが、是非ともご臨席をお願い申し上げます。




■イベント名
「大学」×「技術」×「BOP」 - 日本発、世界を変えるイノベーション

■ 開催日時・場所
2010年3月20日(土) 10:00 - 17:00
政策研究大学院大学 想海樓ホール
※会場へのアクセスはこちら
http://www.grips.ac.jp/jp/about/access.html

■ 主催
「大学」×「技術」×「BOP」 シンポジウム実行委員会

■ 共催
政策研究大学院大学

■ 参加申込/お問い合わせ
参加申込、およびイベント、その他のお問い合わせは、こちらのサイトよりお願いいたします。
http://sites.google.com/site/dlabjapan/
申込期限は3月18日(木)24:00です。
※参加費は無料です。
※定員(250名)到達次第の締め切りとさせて頂きます。

■ プログラム

<午前の部> 10:00 - 12:00
・主催者挨拶
・基調講演 - William H. Saito 氏 (CEO, Intecur, K.K.)
・欧米のトップスクールにおける適正技術教育の広がり - 陸 翔 (ハーバード・ケネディースクール)

第1部 MIT D-Labの取り組み
モデレーター - 陸 翔
・D-Lab の概要 - 遠藤 謙, José Gómez-Márquez(MIT)
・D-Lab Health (医療機器開発)José Gómez-Márquez (MIT)
・D-Lab Prosthetics (義足開発) - 遠藤 謙 (MIT)

<午後の部> 13:00 - 17:00
第2部 日本の大学における取り組み
モデレーター:高田潤一 氏(東京工業大学国際開発工学専攻長)
・エジプト日本科学技術大学 - ラメシュ・ポカレル氏 (九州大学助教)
・BOPを変革する情報通信技術 - アシル・アハメッド 氏 (九州大学准教授)
・ICU サービスラーニングセンター - 本郷好和 氏 (国際基督教大学准教授)

第3部 産業界の取り組み、産学連携への期待
モデレーター: 岡田正大 氏 (慶應ビジネススクール准教授)
・南アジアのソーラー灌漑電気自動車 - 金平直人 氏 (大手コンサルティング会社)
・ガイア・ソーラーランタンプロジェクト - 藤田周子 氏 (ガイア・イニシアティブ事務局長)
・ユーザーイノベーションを通じた途上国向け商品開発 -西山浩平 氏 (エレファントデザイン代表取締役)
・世界中の水をきれいに - 小田 兼利 氏(日本ポリグル会長)

・基調講演 黒川清 氏 (政策研究大学院大学教授)
・閉会の辞

※各部末では、質疑応答、総合討議の時間がございます。
※日本語/英語両方でのセッションを予定しています。
※講演者・タイトルについては、変更の可能性があります。

2010年3月9日火曜日

Q Drum がスーツケースに

明朝日本へ発つ。今回はいつものメガネや、太陽発電ランプライフストローに加えて、新しいKopernikプロダクトとともに旅路に着く。それは、Q DrumSolvatten

二つともかなりかさばるので、どうやって持っていこうかと考えたが、Q Drumに下着や靴下、Tシャツなどを詰めてスーツケース代わりにして、その空いたスペースにSolvattenを入れることにした。実際に色々と入れてみたがかなり容量がある。

日本で変な容器を持って歩いている人を見つけたらそれは私です。

2010年3月8日月曜日

Join Facebook Kopernik Page!

フェイスブックのコペルニクのページです。英語のブログとTwitterがロールで流れてます。

現在メンバーは500人強ですが、4月末までに1000人を目指しています。

是非ジョインしてください!

2010年3月7日日曜日

スタンフォード大のDesign for Extreme Affordabilityクラス 見学レポート

今回はKopernikでビジネスディベロップメントを担当している陸翔さんにゲスト投稿していただきました。

こんにちは!KopernikでBusiness Developmentを担当している陸です。

先週末、スタンフォードを訪問する機会があり、そこでDesign for extreme affordabilityという途上国向け製品開発を教える授業を見学してきました。今日は簡単にその授業の紹介をいたします。この授業は、IDEOの創設者であるDavid Kelleyが率いるD.Schoolというデザインスクールが運営する授業の一つで、デザイン、エンジニアリング、ビジネスなど異なる分野を専攻する学生が互いのスキルを持ち寄って、提携先のNGOが持ち込んだ途上国でのデザイン課題に取り組んでいます。

授業構成の詳細は、こちらに載っているので見ていただければと思いますが、授業を見学して感じた特徴についていくつか書いてみようと思います。

①Design Thinking
D.school全体を貫くテーマが、
Design Thinkingという「人間(ユーザー)の生活全体を中心に、総合的・クリエイティブに、現実的な解を考えよう、というコンセプトです。というと、訳がわからないように聞こえますが、例えばExtreme Affordabilityの授業では下記のようなパーツが織り込まれていました:

-Ethnography
記述民族学などと訳されますが、マーケティングの手法の一つとしても注目されているもので、ユーザーの生活を文化人類学のように判断をはさむことなく丸ごと観察し、受け入れることで、ユーザーのニーズを理解・特定していくプロセスのことを指します。授業では、始めは大学付近の消防士やウェイターなど自分とは全く違う生活をしている人を観察させる宿題を出すなどして、Ethnographyを教えているとのことでした)

-Rapid Prototyping and iteration
製品デザインのプロトタイプを考えるだけではなく、ビジネスモデル・プロモーションプランまで含めたトータルのビジネスデザインを短時間で考え、何サイクルも回すことで改善を進めていくプロセスのことです。見学した授業ではちょうど、ベンチャーキャピタルに見せるビジネスプランのプロトタイプをどう作るか、というエクササイズをやっていて、先生が「製品のポジショニングはこう考えるべし」というエッセンスを5分程度話したあと、5分ほど時間をとって、各チームがポストイットと模造紙を駆使して、アイディアをどんどん書いては貼っていくというエクササイズを繰り返していました。(これまたマーケティングの世界でも使われる手法の一つで、前職で新ブランド立ち上げの仕事にかかわっていた時にクライアント企業と行っていたエクササイズを思い出しました。)

教室の外では過去の受講生が作ったパネルが展示されていました。いくつか紹介します:





②Multi-disciplinary / Collaborative dynamics
授業後にインストラクターに授業の一番のエッセンスを聞いたところ、最も強調していたのが「Multi-disciplinary」であることでした。異なるバックグラウンド、スキルセットを持った学生が集まる中で初めてクリエイティブなアイディア、また包括的なビジネスデザインができるという言葉に大きく共感しました。

また、授業の大きな成功要因に、途上国にいるパートナーNGOの存在も挙げていました。パートナーを組んでいるNGOが、日頃の活動を通して見えてきた現地のニーズや現在使っている製品の問題点などをあらかじめ的を絞って学生に伝えることにより、学生はすぐさまデザイン思考のプロセスに入れるようです。プロジェクトの最終成果物も、まずはパートナーを組んでいるNGOを通じて現地での実用化の道を考えるそうで、「現地からの情報吸い上げ」と「現地への製品提供」の双方向のコラボレーションがしっかりしていることが成功の秘訣となっているようです。

③Practicality
もう一点、授業中繰り返しインストラクターが強調していて、多少意外だったのが、「現実的であれ」というポイントです。
クリエイティビティという言葉から、ついつい「失敗してもいいから好きに考えてごらん」という姿勢で臨むのかと思っていたのですが、インストラクターは授業中、繰り返し、「すでに世の中に同じ製品があるなら、同じものは作るな。『買う』のがベストな解であることもある」「競合サーチを怠るな。100年前のアンティークで実は必要な機能を満たしている製品をEbayで見つけて、それを改良したチームもある」「まずはパートナーを通じて製品を届けることを考えるように。ベンチャーを作ると、生産インフラから配達ネットワークまで一から作ることになって労力がかかる。」などと、「現実的に最も効率の良い解を考えるように」ということを強調していました。

デザイン思考のエッセンスの一つに「現実的であること」があるそうですが、どこまでも、「どうやったらユーザーにとってのインパクトを最大化できるか」を中心に考えている姿勢の先に初めて成功するデザイン・ビジネスがあることを改めて実感しました。

もちろんこういった現実解を強調する一方で、「リスクを自由に取れる環境」もばっちり用意されています。授業にはベンチャーキャピタル、弁護士、現地への旅行手配などのサービスがしっかりついていて、実際にこれらのインフラを利用してベンチャー化したチームもいくつかあるようです。

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たった2時間の授業でしたが、途上国向けものづくりのエッセンスが詰まった、実り多い見学となりました。
Kopernikの今後の活動にもぜひ反映させたいと思っています。

2010年3月5日金曜日

「発明者に聞く」 Barefoot Power [太陽発電ランタン]のスチュワート・クレイン氏

今回は太陽発電ランタンを作る、Barefoot Powerのスチュワート・クレイン氏のインタビューを載せています。原文はこちらから。


全人類の4分の1に値する15億人は未だに電気や適正な照明機器を有さずに生活している。その多くが、灯油や動物堆肥や木材、その他炭素系の燃料による照明に頼っているが、これらは空気を汚染する上、使用者は毒性の強い煙とガスに日常的に晒されることになる。さらに、これらの伝統的な形式の照明は、重大で緊急性の高い危険を有しているのである。毎年、数百万の人々が、これらの照明ランプで重度の火傷を負ったり命を落としたりしている。さらに危険性の高いランプにより火事が発生することで人々は財産を失いさらに貧困が進むという悪循環に陥っていく。

2005年スチュワート・クレインとハリー・アンドリューの2人のオーストラリア人は、それぞれの持つ専門を生かして再生可能エネルギー分野で起業をした。人道的観点を持ちながら、灯油に代わる健全で持続可能な再生可能エネルギーをより安価に提供することを企業の要に掲げた。家庭用の太陽光発電LEDライト一つで、煙の毒素に徐々に蝕まれる不安なく家族が寄り添うことができ、子どもたちは事故の危険にさらされずに勉強をすることができる。このような個別世帯への太陽光発電ライトの提供から始めたオーストラリア企業「Barefoot Power」は、現在、さらに病院や学校全体を照らすことのできる大規模な太陽光発電パネルの事業化に取り組んでいる。これらの大規模発電は後に小規模グリッドを介してより大きな効果をもたらすとされている。

「人々は1週間に1ドルをランプの灯油代に費やしています。そして1年の終わりに彼らの手元には何も残りません。私たちは、代わりに10ドルから20ドルを提供することができます」とクレイン氏は述べる。「その年の終わりに、長期的視点からも持続性が高い太陽光発電による0.5ワットと1.5ワットのデスクランプを有することが代替案です。」

明確な見通しを立てたクレイン氏は直ちに自らの貯金を集めた。「貧しい人々は私たちの10倍~30倍ものお金を払って照明の恩恵をうけています。自分の家全体、例えば、あなたのラジオ、照明、冷蔵庫をすべて単三電池で賄うことを想像してみてください。彼らの照明価値を考慮すると、太陽光発電は意義があることなのです。」

伝統的な灯油照明の代わりに太陽光発電を使うことで将来的に貯金が可能になるにもかかわらず、多くの貧困コミュニティでは太陽光発電ランプの購入への突然の出費に驚愕し導入に至らないケースが見受けられた。これに対してクレイン氏はモデルを次のように説明する、「これは見返りのある出費なのです。彼らが1週間に1ドルを使うのに対して、商品価格は10ドルから12ドルですから、10週間から11週間で資金が回収されると考えられるのです」

クレイン氏の経験は、資金回収期間が6カ月以下となれば貧困層もランプの購入を現実的な選択肢として捉えることを示した。そして現地の起業家を仲介として置き、マイクロファイナンス手法を取り入れることで、約2万世帯10万人に太陽光発電ライトを提供することができた。

2006年にヨーロッパビジネス計画コンテストで優勝したことで、100以上のマイクロファイナンス機関がBarefoot Powerに関心を寄せてきてが、BarefootPowerは少しずつ段階的に成長していくことを目指している。「私たちは現在2-3のマイクロファイナンス機関と一緒に働いていますが、次の1-2年で提携数を20-30に伸ばしたいと考えています。」とCrain氏は言う。現在、同社はアフリカと南アジアの30カ国を対象として事業展開を行っている。

クレイン氏の現在の取り組みの動機となっているのは、彼の事業に関する経済的観点からの比較論である。クレイン氏は、15億人(3億世帯)の人々が1週間あたり平均1USドルをランプの灯油に費やしているというLuminaプロジェクトの調査結果を引用しながら、この総額を計算すると世界銀行や大手援助機関が地方電化プロジェクトに年間支出する金額の10倍以上になることを指摘した。「貴重な現金が事実上燃やされている。」とクレイン氏は言い、「村人たちに灯油を燃やす、すなわち彼らのお金を燃やすことを辞めさせることができれば、それらを長期的な財産への投資に回すことができるのです」と語った。

燃やしていたお金をより賢く生産性のあるエネルギー供給への投資へと変えていく「転換」こそが、クレイン氏の目指すより広い意味での貧困削減への道のりといえる。「私たちが手をつけられる様々なエネルギー開発の中でも、灯油照明市場から太陽光発電への転換は極めて障壁が少なく、かつ最も直接的な効果が期待できる部分なのです」とクレイン氏は述べ、「近代的なエネルギーへのアクセスがなければ貧困は撲滅されないでしょう」と語った。

[今回は渥美(八木)恵里子さんに翻訳をしていただきました。ありがとうございます!]