「発明者に聞く」シリーズ、今回は水をきれいにするSolvattenを発明したスウェーデンのペトラ・ワドストロムさんです。原文はここから。
途上国が直面している重要な課題の一つとして衛生的で安全な飲料水へのアクセスがあげられる。世界の12億の人々が安全な飲料水を手に入れることができず、年間160万人が水系伝染病を原因とする下痢により死亡している。これらの多くは5歳未満の子どもである。
Solvattenは、太陽のエネルギーを利用して汚れた水を安全な飲料水に変えていく水容器である。簡易な技術構造のSolvattenではあるが、途上国の貧困コミュニティに与える影響は大きい。太陽光発電による浄水器は使い方も簡単で、10リットルの水を2つのタンクに入れて太陽の下に数時間放置し、その後浄水された水を汲むだけ。この機器は、携帯型太陽光電熱器としても利用することができ、家庭での湯沸かしや煮沸器として衛生面の改善にも役立てることができる。
スウェーデン語で「太陽の水」を意味するSolvattenは、非常にシンプルな解決手段に見えるが、実際には11年の月日をかけて研究と試験を重ねて完成された商品である。スウェーデン人発明者のペトラ・ワドストロム氏 は、自身が貧困国で汚れた飲料水の問題に取り組んだ経験から、水問題の解決に貢献したいという意欲を持ち、Solvattenを開発するに至った。
「危険な水と病気と常に隣り合わせで生きている姿を想像し状況を理解するにつれて、女性や子どもでも使いこなせるような簡単な手法による解決手段を模索するようになったのです。」とワドストロム氏は話す。まだ設立3年目のSolvattenABだが、既にきれいな水の確保という課題に対して持続的かつ実践的な解決方法を示す企業としての地位を確立しつつある。
これまでの灯油、木炭、薪などを燃やして水を沸かすという伝統的な方法と比較しても、より環境に配慮し費用対効果の高い仕組みのSolvattenは、途上国の人々の健康と暮らしの向上に対して直接的で即効的な効果を与えるといえる。
ワドストロム氏は、人々が途上国で解決しようとしている課題に対して新鮮な視点を持つことが必要だと考える。「学校の教師や生徒が異なる角度から問題を見ることを奮起し、さらにSolvattenの経験をきっかけに、気候変動、生物、数学、社会関係が抱える様々な課題についても議論を広げてほしいという願いがあります」と語る。
現在、SlovattenはNGOのマイクロファイナンス手法と助成金を利用することで主に配布されているが、長期的には利用者が直接商品を購入するビジネスモデルが適用されることをワドストロム氏は望んでいる。
ネパールとケニアの団体と共に活動するSolvatten社の掲げる主な目標は、薪使用からの転換によって森林伐採を減らし、ミレニアム開発目標達成に貢献することである。ワドストロム氏は「課題に対して新鮮な視点を持ち込み、途上国で特に必要とされるテクノロジー」を提供するコペルニクのような取組みを評価している。
[訳・渥美(八木)恵里子さん]
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