2011年1月11日火曜日

コペルニクフェロー Takuro便り11 charcoal project テスト編

イオマス炭づくりで試行錯誤を重ねているコペルニク・フェローのTakuro。今回は、以前改良した炭を使って、パフォーマンスをテストしている様子を報告してくれました。

*******

明けましておめでとうございます。

Kopernik fellowの原口@ケニアです。

前回のレポートでは、改良をして2種類の炭を作ったことを報告しました。

さて、改良1と改良2で炭を作りましたが、Press器の使用によってどこまで差がでるのでしょうか?また、木炭とどのくらい違いがあるのでしょうか?ということで、改良1(今後炭2と呼びます)、改良2(今後炭3と呼びます)で作った炭と木炭の3つを同時にテストして調べました。テストは以下の2つ方法でやります。テスト1では、3種類の炭を同じ重さに調整して比較します。テスト2では、焜炉を炭でいっぱいにした状況で比較します。さて、調べる項目ですが、このテストでは、火力、火の持ち時間の長さ、煙の量、灰の量、火の付きやすさの5点を調べます。特に、火力に関しては客観的な物指としてどれだけ早く500mlの水を沸騰させるかで計ります。

【テスト112/27

テスト1では重さを同じにすることにより、炭2と炭3、そしてバイオマス生まれの炭と木炭の純粋な違いを調べます。

1.準備

1.1 3種類の炭を300gに統一する。

このままでは、各炭の重さがバラバラなのでマーケットの肉屋に行き、天秤で300gに統一します。

1.2テストの準備

粘土の焜炉を3つ揃えて、3つの炭を載せていきます。写真の通り同じ300gでも木炭の量が圧倒的に多いですね。

手で固めた300gの炭。10つのピースから構成

Press器を使用した300gの炭。7つのピースから構成

300gの木炭。

そして、紙を使用し、それぞれの焜炉に火を付けていきます。さて、ここで違いがでました。木炭は2分後に火が付きますが、炭23はに火が付くのに4分ほど掛りました。つまり、木炭の方が早く火が付くという結果になりました。

煙は紙を燃やしたことによる

2.テスト開始

それぞれの炭が燃え出したらいよいよ実験開始です。500mlに計った水を同じ大きさの容器に入れ焜炉に載せ、熱し始めます。8分後、さっそく木炭の水がブツブツと泡を出し始めました。そして、容器を熱し始めてから12分後に水が沸騰しだしました。さて、炭23の方ですが、15分後に炭2が泡がブツブツが出てきましたが、結局46分経っても炭23の両方とも沸騰しませんでした。

3テスト結果

・火力

上記で述べたとおり、炭2346分以上経過しても水を沸騰させることがありませんでした。このエントリーで述べたとおりケニアの常食であるウガリを作るには水を沸騰させたなければなりません。そのため、水を沸騰できない炭23は火力として弱いと結論になります。また、炭23では炭2の方が泡のブツブツが出だしたのが早かったので炭3よりも火力が強いということになります。

・持続時間

持ち時間の基準として、ケニアの常食のウガリとスクマウィキを作る時間を合わせた約30分間ある一定の火力を保つことができるかどうか調べました。木炭は、46分以上一定の火力を保つことができました。炭23の方ですが、火力は弱いですが、持続時間自体は46分以上経ちました。

・煙の量

木炭からの煙は皆無ですが、炭23からは少し煙が出ていました。

・灰の量

木炭とバイオマスから作った炭の大きな違いは、木炭は灰を出さないが、バイオマスから作った炭は大量に灰を出すということです。次に、炭2と炭3の違いですが、炭の硬さ自体は同じですが、炭2の方が灰が大量に出るという結果になりました。炭2Press器を使用していないため、炭がすぐに砕けて灰になってしまうからだと考えられます。

テスト結果は以下の通りになりました。

キャッサバボンド

Press

水を沸騰させる時間

持続時間

煙の量

灰の量

火が付く時間

2

×

46分以上

30分以上

4

3

46分以上

30分以上

4

木炭

1221

30分以上

2

4.考察

このテストから分かったことは当然ながら炭のピースの多さが火力に依存するということです。同じ原料から作った300gの炭23でも炭2の方が炭のピースが多かったため火力が強力でした。この結果から、理想的な炭の作り方は、各炭のピースを30分持つほどのサイズに縮小して、なるべくピース数を増やすという方法が考えられます。また、Press器を使用すると灰になるリスクを軽減するので、Press器を使用しない炭よりも、さらに小さいピースで作ることが可能かもしれません。ちなみに、今回使用した炭のピースは各ピースが大きすぎるため1時間ほど持ちますが、夕食を作る時間は30分ほどですむため、残りの30分は無駄に終ります。

【テスト212/27

テスト1では、重さを同じにすることで純粋な違いを調べました。しかし、炭のピースが少なかったため水を沸騰させることができませんでした。ということで、テスト2では焜炉を炭で一杯にして比較してみます。ちなみに、通常焜炉を使用する際は炭で一杯にして料理をするので、テスト2はよりリアルな実験となります。さて、調べる項目ですが、火の持ち時間の長さ、煙の量、灰の量、火の付きやすさの4点と木炭の火力はテスト1で調べたので、テスト2では炭2と炭3の火力にフォーカスしたいと思います。

1. 実験開始

テスト1同様に粘土質の焜炉に炭2と炭3を一杯にします。その後、500mlの入った容器を焜炉に載せて準備完了です。そして、火を付けて実験開始です。

火を付けて、8分後に炭3の容器の底から泡がブツブツを出てきました。これは木炭と同じスピードですね。炭2の方は9分後に底から泡が出てきました。そして、火を付けてから950秒に炭3は沸騰しました。これは木炭よりも速いスピードです。炭2の方は、1342秒後に沸騰しました。

2. テスト結果

・火力

火力は炭3950秒で沸騰、炭21342秒という結果になりました。特に炭3は木炭の沸騰時間を2分以上上回りました。つまり、焜炉を炭で満タンして比較すると、Press器で固めたバイオマスの炭の方が火力が強いという結論になります。

・灰の量

実験が終わり焜炉を退かすと大量の灰が底に溜まっていました。目に見える灰がたくさんあるという事は目に見えない灰が空気中を飛んでいる可能性が非常に高いです。その場合は木炭よりも健康への被害が高くなります。

キャッサバボンドとPress器を使用しなかった炭のテスト結果も合わせてまとめると以下のようになります。

キャッサバボンド

Press

水を沸騰させる時間

持続時間

煙の量

灰の量

火の付き易さ

1

×

×

?

20

2

×

1342

30分以上

3

950

30分以上

木炭

1221

30分以上

3. 考察

テスト2の結果からPress器を使用した炭3が一番火力が強いことが分かりました。

大きさが同じほどの炭2と炭3の両方を焜炉に一杯にしたため、今回はピースの数はある程度無視できるはずです。それでも、この2つの間には約4分もの差があるのでPress器で固めたことが何らかの影響を与えている可能性があります。

炭を使用して調理

【今後】

このように今回のテストでは木炭と遜色がないほどの火力と持続時間を達成することができました。ということで、来週からさっそく村の人々のトレーニングを始めていきます。

0 件のコメント:

コメントを投稿