今回は、MITのD-Labで講師を勤め、BoP技術の最前線で働く遠藤謙さんに、ゲスト投稿をしていただきました。
Jaipurfootの正式名称はBhagwan Mahaveer Viklang Sahayata Samiti (BMVSS)であるが、アメリカではJaipurfootと呼ばれることが多い。Jaipurfootは義肢や装具を無償で配布しており、インド国内16箇所にあるクリニックには毎日多くの患者が義肢や装具を求めて訪れる。また、Jaipurfootはクリニックのない地域や国外で、義肢装具を配布するためのキャンプも行っている。これまでに配布してきた義肢装具の数は30万を超えており、現在世界最大の義肢装具コミュニティーといわれている。
Jaipurfootの特にすぐれている点は以下の3つに集約される。
- 安価で高機能な義足、Jaipur Foot
- 一日でフィッティングを可能にするプロセス
- 安いランニングコスト
このように、Jaipurfootのビジネスモデルは、インドや周辺国の情勢や文化にうまく適合し、今なお成長しつづけている。ただし、自社内ではR&Dに手が回らないという問題点もある。これを解決する為にJaipurfootは積極的にスタンフォードやMITなどの大学との連携を進めている。
私はMITのD-labのスタッフとして途上国向けの義肢装具技術の開発を担当している。D-labとはMITに設置されている国際開発と適正技術に関する授業である。D-labは現地コミュニティーとパートナーシップを組み、彼らのための技術開発を行い、さらに冬や夏の休暇中にインターンシッププログラムを実施して技術の定着を目指している。D-labには、国際開発導入はもちろん、車いす、メディカルデバイスの開発から、BoP市場向けのビジネスプランを考案するものまで、合計10種類もの授業があり、必修ではないにも関わらず大人気の授業になっている。私はD-labの中の途上国向けの義肢装具技術に関する授業Developing World Prosthetics(DWP)を担当しており、その活動の中で協力している現地コミュニティーの一つがJaipurfootである。
DWPでは、安価な素材や限られた加工機のみを用いるといった制約条件の中で、Jaipurfootの再設計や膝上の部分を切断した患者のための大腿義足の制作などを行ってきた。例えば、以下の動画は2007年の夏のインターンシップのときに行われた大腿義足の実験の様子である。現在3名の切断患者がこの義足をインド国内で使用しており、今年の夏にまた新しいプロトタイプをクリニックに持っていく予定である。
参考資料
Jaipur foot study at Michigan Business School
シエラレオネでは、戦争中に手足を切断された人が多くおります。カンボジア、ラオスなどの国では、地雷で足を亡くした人も多くおります。インドのみならず、こういった国での活動は行っているのでしょうか?
返信削除http://peacebuildinglive.blogspot.com/2008/07/blog-post_31.html
中村さん
返信削除コメントありがとうございます。
私の知っているかぎりでは、地雷が埋まっている地域や内戦地域ではICRCが精力的に活動していまして、とくにカンボジアで行っていたICRCのプロジェクトへMITからインターンにいった学生がいました。その他は地元のコミュニティに頼っている(タイやアフリカ諸国)ものが多いかと思います。ぼくも情報収集しておりますので、より詳しい情報がありましたら連絡いただけると幸いです。ちなみに今年、DWPに新しくシエラレオネ出身のスタッフが増えました。今後活動を広げていきたい地域の一つです。
http://www.icrc.org/