2010年8月20日金曜日

See-D実行委員会メンバーの海津太郎さん!

さて、陸さん、横田さん、山内さんに続いて、今回See-D実行委員会から登場するのは、海津太郎さんです。See-D現地調査部隊として東ティモールから帰ってきました。

See-Dコンテスト実行委員の海津太郎さん
皆さん、初めまして。  See-D実行委員の海津(かいづ)です。フィールド調査の第1陣として8月11日から8月15日まで、スタッフとして東ティモールのBobonaroへ行ってきました。電気が十分通っていない途上国ということで、いろいろなリスクを思い浮かべながら現地へ入りましたが、参加者の皆さんの柔軟な対応、現地コーディネーターの活躍によって、トラブルもなくフィールド調査を終えることができました。今回のフィールド調査がどのようなものだったのか、簡単にご紹介します。  
今回のテーマは「非電化」。東ティモールの首都Diliから4輪駆動車で5時間ほどかけ、山間部の村を訪れました。初めは全く電気のない世界を想像していましたが、毎日の停電はあるものの裸電球を照らすほどの電気が通っている家が村中心部に見受けられました。また少数ですが、テレビや電気アイロンを備えた家もありました。  
とはいえ、日本と比べれは格段に限られた電気の使い方しかできません。日本から来た私たちからすれば「電気がなくてさぞ困っているだろう」という姿勢になりがちです。しかし現地の村人は、当然のように非電化の生活をしているわけで、彼らの生活を外から単に眺めただけでは「何が必要とされているのか」は見えてきませんでした。参加者からは「今の生活に満足しているでは?」という声も当初は聞かれました。非電化地域だからこそ体験できる、ため息が出るほど美しい星空を見た後ではなおさらでした。(笑) 
しかし、診療所や行政、貧しい村人が住む地区を訪れ、彼らの話を聞き、彼らの家を見学し、それらの内容を関連づけていくうちに、フィールド調査の参加者たちは、村人たちが直面している課題は何なのか、自分たちの取り組みたいテーマは何か、イメージが湧いてきたようです。調査の合間に皆で集まり、見聞きしたことについて議論をしましたが、いろいろな意見が出てきてとても刺激的でした。目の前の問題を解決するプロダクトのアイデアだけでなく、そもそも途上国に限らず「人間らしさ」に注目したアイデアも飛び出し、「なるほど!」と思うことも多々ありました。この体験をもとに「See-Dらしい」と言われるような素晴らしいプロダクトが生み出されることを期待しています。   
順序が逆になりましたが、私の自己紹介をします。 
私は小さい頃から好奇心が強く、結果、当たり前のように科学技術に憧れ、大学は何の迷いもなく機械工学科に進学しました。大学時代にアメリカへ行く機会に恵まれました。そこで初めて「日本人」として周囲から見られること体験し、日本社会を強く意識するようになりました。帰国後、これまでの科学技術への興味だけでなく、「社会」や「人間の営み」に対する好奇心が膨らみ、大学院に進学して政治学、社会学、経済学を学びました。大学院で研究をしていて気付いたことは、民間企業の社会に対する影響力の大きさでした。この点をより理解したいと思い、修士取得後にエンジニアリング会社へ就職し、主に韓国や香港で工場を建設するプロジェクトのマネジメントを経験しました。企業で働いているうちに、もの心つく前から情熱を感じる科学技術と社会を結びつけるような仕事ができないかと思い始め、2010年3月よりETIC.に所属して新しい事業の創造に関わっています。
と、それらしく説明してみましたが、実は意識してキャリアを築いてきたわけではありません。その時々に自らの好奇心に正直に生きてきた結果、今に至っています。スティーブ・ジョブズがスタンフォードの卒業式で演説していましたが、振り返ると点と点が繋がって自然とストーリーができていたわけですね。  
私がSee-Dに期待することは、「新しいモノ作り」がSee-Dをきっかけに社会へ広がっていくことです。「新しいモノ作り」とはユーザーの視点に立って、本当に必要とされているモノを創り出すことで、作り手の都合で作り出されるモノではありません。ユーザーの視点に立つことで、今までのプロダクトとは全く別のカタチが適していることを発見するかも知れませんし、極端な場合、そのプロダクトがある状況下では必要とされていないことが分かるかも知れません。See-Dは途上国向けのモノ作りをテーマにしています。途上国というモノが限られている環境に適切なプロダクトを導入できれば、人々の生活の質を劇的に向上させられるかもしれません。モノの作り手にとっても大きなやり甲斐を得られる経験となるでしょう。また、See-Dでのモノ作りのプロセスは、途上国だけでなく先進国の社会課題に対しても応用できる可能性を秘めています。  
まだ芽が出てから日が浅いプロジェクトで試行錯誤の連続ですが、意識の高いのデザイナーやエンジニアなどの個人が自由に活用でき、関心の高い企業も参加できるようなプラットフォームにしていければと思っています。人は「道具」を発明することによって進化してきました。今一度、その「道具」の意味を見つめ直し、新しいインパクトを社会に送り出していきませんか?

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