2010年10月31日日曜日

ケニア在住 コペルニク・フェロー 原口さんからの報告 その2

前回のレポートに続き、ケニア滞在中のコペルニク・フェロー原口拓郎さんよりのお便りです。


(レポート前半)

原口です。

前回のレポートで書いたとおり、今回の第2回目は、K-lightが与える間接的影響についてご報告したいと思います。

2. K-lightが与える間接的影響について

前回のレポートのK-lightが与える直接的影響で述べたとおり、K-lightによって灯油への支出が約68%下がりました。さて、ここで、疑問に思われた方もいると思いますが、K-lightを使い始めた家庭では、今まで灯油に使っていたお金をどのように使うのでしょうか?

この浮いたお金の使い道が今回のK-lightが与える間接的影響です。

今まで灯油に使っていたお金の使用先は、大きく分けて教育費食べ物ビジネスその他4つに分かれます。以下の図表は、45人の浮いたお金の主要なお金の使い道です。

以下それぞれ具体的に見ていきます。

1. 教育費(10人が回答)

家計の支出で一番費用が掛かっているのはなんでしょうか?

それは、教育費です。

そこで、まずはケニアの教育費に関して少し整理してみます。

ケニアでは、Primary school(日本の小中学校に当たる)が義務教育となっていて、Secondly school/High schoolがオプショナルとなっています。よって、全ての子供はPrimary schoolに行かなければならず、費用は子供の数に比例して増えます。それでは、Primary school1年間あたりの費用はいくらでしょうか?

Primary schoolFree educationとなっていますが、内情は少し違うみたいです。Primary schoolの先生に聞いてみたところ1年間当たり2,000kshかかるそうです。その内訳は、学校での食事と年に9回あるテストを受ける費用だそうです。さらに、この他にも制服350kshや教科書の費用等も発生します。また、Secondly school/High schoolでは、授業料が掛かるので1年間あたり12,000Kshの費用が発生します。

しかしながら、多くの両親が雇用されずに不定期な短期雇用によって僅かな収入を得ています。このため、多くの家庭では上記の教育費を払うのが難しい状況となっています。

以下、イメージしやすいように具体例を一つ挙げます。

・名前: Pascalia Akumu

・年齢: 76 years

・家族構成: 4 Grandchildren(20years-3years)

灯油の支出の減少値: 60Ksh/1day

K-lightを受け取る前の状況:

Pascaliaさんには4人の孫がいます。彼らは両親がいなく、代わりに祖母であるPascaliaさんが世話をしています。子供は夜遅くまで勉強するため灯油は1日当たり70Kshも使用します。しかしながら、76歳という高齢のため働くことができず、収入は親せきからのサポートによってやりくりしている状況です。それでも、子供たちの教育費を払うのにとても苦労していました。

K-lightを受け取った後の状況:

K-lightを使用することにより、1日当たり60Kshのお金を浮かせる事ができました。Pascaliaさんの場合、高齢でビジネスができないため、教育費に充てているそうです。生活は依然としてくるしいですが、このお金によって教育費を部分的にサポートできているそうです。

2. 食べ物(11人が回答)

食べ物に使っている家庭はどのような状況に置かれているのでしょうか?

多くの女性にインタビューしてみて、資金不足から毎日十分にご飯を食べることができない事が、とても普通であることが分りました。特に私が滞在している西ケニアの田舎では子供の数が多く、ご飯の量も子供の数に比例して必要とされます。このような状況では、

子供は十分な栄養を取ることができず栄養失調に陥ります。

イメージし易いように一つ例を紹介したいと思います。

例1.

・名前: Christin Nechesa

・年齢: 32 years

・家族構成: 5 children(12years-3years)

灯油の支出の減少値: 25~30Ksh/1day

K-lightを受け取る前の状況:

Christinさんには5人の子供がいて、4人はPrimary schoolに行っています。上記で述べた通り、Primary school1人当たり年間2,000Kshの費用がかかります。また、3歳の娘は病気に罹っており、適切な治療を必要としています。しかしながら、Christinさんも夫も職に就いておらず、不定期な短期雇用によって収入を得ています。Christinさんは、他人の畑仕事の手伝いで1日当たり25Kshしか稼げません。また、夫もサトウキビ畑で収穫する仕事をしていますが、1日当たり100Kshしか稼げません。このような状況で、満足にご飯を食べることができないとChristinさんは嘆いていました。朝食は基本的に食べることができず、夕食も1週間のうち2~3日しか食べることができません。何も食べることが出来ない時は、この地方のいたる所で栽培されているサトウキビを食べてとりあえず空腹を満たすそうです。また、仮に食事を食べることができたとしても、食事は決まって下記の写真のウガリとスクマウィキなので非常に栄養バランスが悪いです。このような状況のため、子供は病気がちになります。

   

ウガリ                         

スクマウィキ         

   

K-lightを受け取った後の状況:

Christinさんは場合、K-lightの使用によって浮いたお金を食べ物の購入に使いました。

その結果、朝食は1週間に1~2回、夕食は4~5回に増えました。また、バナナ、マンゴー、オレンジの果物も週に1~2回購入できるようになり、ビタミン等の栄養素を摂取できるようになりました。その結果、ビタミンAの不足から生じる子供の肌の病気も果物を摂取することにより少し改善したそうです。Christinさんの生活は依然としてとても苦しいですが、K-lightを使用することにより食生活が改善されました。

ちなみに、上記の例は典型的な例です。

(レポート後半に続く)

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