2010年10月23日土曜日

ケニア在住 コペルニク・フェロー 原口さんからの報告

コペルニク・フェロー第一号のマイケルに続いて、2人目のコペルニク・フェロー、原口拓郎さんから、活動のアップデートが届きました。原口さんは、ケニアをベースに、インパクトの測定を含め、様々なコペルニクの活動を支援しています。

コペルニク・フェロー(ケニア)
原口拓郎さん

皆様、はじめまして。

コペルニク・フェローとして先月からケニアにてK-light(ソーラーランタン)の調査をしている原口拓郎と申します。これから、週1回のペースでケニアの現状をアップしていきたいと思います。よろしくお願い致します。

さて、今回投稿する内容は今週と次週の2回に分けて私が調査をしているK-lightがどのように人々の生活に影響を与えているのかについてご報告したいと思います。1回目の今回はK-lightが直接的に与える影響について、次回はK-lightが間接的に与える影響についてです。

1. K-lightが直接的に与える影響

K-lightが直接与える影響は、灯油のコスト削減、安定的な光の確保、煙による被害の低下、火事のリスクの低下4つに集約されます。以下、それぞれ見ていきます。

   

K-light

灯油ランタン

1.1 灯油のコスト削減

私が滞在している西ケニアの村ではほとんどの人が電気にアクセスすることなく、代わりに灯油ランプを明かりとして使用しています。しかしながら、灯油の値段は1日当たり平均25Ksh(25)と高く家計を圧迫しています。インタビューした女性の1人、Ceciliaさんは1年の収入は4000Kshと言っていました。これは、1日当たり約11Kshと、この女性にとって灯油の値段が如何に高価であるかがわかります。

Ceciliaさん

46歳で子供が7人います。夫は酒に潰れていて、彼女1人で家庭を支えています。

このように灯油の値段が高価であるため、幾つかの貧しい家庭では毎日灯油ランプを使用することができず、真っ暗やみの中で、夕飯の準備をし、夕飯を食べ、机を片付けて寝る準備をして、寝なければなりません(ケニアでは18時半が日の入)

このような、状況でK-lightはどのような効果を与えるのでしょうか?

先週と今週で51人の女性全員を調査したところ全員がK-Lightによって灯油に掛けるお金が減少したと言っていました。下記の図表は、51人の家庭での1日当たりの灯油の支出の平均値をK-light導入前と導入後で比較しています。灯油の支出の減少率は実に約68%にも及びます。

1.2 安定的な光の確保

上記でも述べたとおり、幾つかの貧しい家庭では毎日灯油を買うことができずに夜は真っ暗な中で生活しています。また、借りに灯油を毎日買うことができたとしても安定的な光を確保できたと言い難い状況です。

分りやすいように典型的なケニアの村の家をイメージしてみましょう。

写真のような小さな2つの家があったとします。この家では、両親と3人の子供が住んでいます。そして、夜になると以下のような光を必要とする活動が生じます。

・優飯の準備

・食事

・子供たちの勉強

・ベットメイキング

しかしながら、お金の問題で灯油ランプが1つしかありません。

そこで、上記の活動を同時にすることはできず順番にしなければなりません。活動場所は、一か所ではなく、活動場所に合わせて2つの小さな家を灯油ランプを持って行きしなければなりません。また、火の部分がむき出しのため風に当たるとすぐに消えてしまいます。

さらに、灯油ランプの明かりはそこまで明るくありません。そのため


では、K-lightを導入するとどうなるでしょうか?

K-lightと灯油ランプを2つ使用することにより、2つの活動を同時にできるようになります。例えば、片方の家でお母さんが灯油ランプを使って夕飯の準備をしている最中に、もう片方の家で、子供たちがK-lightを使って勉強するということが可能になります。

次に明かりについてですが、K-lightの方が明るいです。

以下の2つの写真を比べてみましょう。2つの写真では5人の子供たちが勉強している所ですが、明るさが違います。ちなみに、2つの写真は同じ場所を明かりの種類を変えて撮影しています。

灯油ランプを使用

 

K-lightを使用

1.3 煙による被害の低下

煙による被害で顕著なのが、健康に与える影響です。灯油ランプを使用すると人体に有害な煙を発します。特に、子供たちの勉強では字を読み書きするような活動するため、より灯油ランプに近づいて明かりを確保しなければなりません。インタビューした多くの女性は煙が目に与える影響について言及していました。また、煙により室内や衣服が汚れるケースもあります。

このような状況でK-lightを使用すると、灯油ランプを使用する機会が減少し、煙による被害も低下します。

1.4 火事のリスクの低下

ほとんどの家庭では火の部分がむき出しになっている灯油ランプ(コロボイ)を使用しています。そのため、何かの拍子で火が何かに引火したり、灯油ランプが壊れて中の灯油に引火するリスクを秘めています。実際に、インタビューした女性の中に、灯油ランプより家が全焼したと言っている人がいました。

そこで、K-lightを使用すると、上記と同じように灯油ランプを使用する機会が減少し、火事のリスクも低下します。


以上、K-lightが与える直接的影響でした。次回はK-lightが与える間接的影響についてご報告したいと思います。

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