2011年10月6日木曜日

Takuro便り20: キャッサバへの対策 テスト編2

Takuroのレポート、さらにマニアックになってきました(笑)。

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原口@ケニアです。

さて、前回のレポートでキャッサバに代わる可能性のある3つのバインダーを使用して炭を作成しました。今回のレポートでは実際にテストしていきたいと思います。

2. テスト

2. 1 個人テスト

調べる事がらはコスト硬さ点火するまでの時間火力持続時間6点です。また、火力を図る方法はケニア滞在1回目にやったやり方を踏襲して、500mlの水をどれだけ早く沸騰させるかを用いて測定します。

2.1.1 コスト

キャッサバを使用する1つの問題として、キャッサバを使用する限りラーニングコストが発生するという点でした。では、他のバインダーと比較してキャッサバはどれほど割高なのでしょうか?当然、泥と牛の糞はただで手に入れられるので考慮に入れないとして、問題はモラセスとキャッサバです。

そこで、10Kshでモラセスとキャッサバをそれぞれ購入して、どちらが多く炭のブリックを作れるかを数える事でラーニングコストを比較しました。

- キャッサバ

今の季節は、キャッサバがローカルマーケットに全く出回っておらず、キャッサバを手に入れるのにとても苦労しました。最後は、友達のコネクションを使用してある人の家まで出向いて漸く100Ksh分のキャッサバを手に入れる事ができました。


100Ksh分のキャッサバなので、10つに分割します。

そして、粉末状へ。


キャッサバの粉末状自体は大して量がないように見えますが、お湯と混ぜるとキャッサバmixtureの量は増大します。そして、コンプレッサーを使用して炭を固めました。数えてみると、全部で22個のブリックができました。



- モラセス

モラセスの値段は、5L100Kshなので、500ml10Kshとなります。そこで、500mlのペットボトルにモラセスをいっぱいにします。


例の通り、モラセスを沸騰させます。

次に炭の粉末と混ぜていきます。そして、コンプレッサーを使用する事により、12個のブリックができました。


-結論

以上より、以下の結論がでました。製造という側面だけで単純にモラセスとキャッサバとを比較すると約倍以上のコストが掛っている事が分かります。さらに、今回は考慮していませんが、モラセスを町まで購入する際の移動費等を含めるとさらにコストが掛る事が予想されます。


2.1.2 硬さ

次の項目は硬さです。硬さは商品として販売する際に、評価されるポイントです。もし、簡単に崩れてしまうようだったら、大きな袋に入れて自転車に運んでいる最中に砕けてしまって商品として売れなくなってしまいます。


2.1.3 点火するまでの時間

さて、ここからいよいよ火を付けていきます。ジーコ(焜炉)2つしかないので、まずは泥と牛の糞を使用した炭の2つをテストします。


町で2つのジーコ購入。値切って、2つで480Ksh


左が泥使用、右が牛の糞。使用乾燥したgrassと呼ばれる草を使用して火を付けます

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泥をバインダーとして使用した炭に上記のようにgrassを使用して火を付けようとします。しかしながら、30分ほど経っても中々火が付きません。そこで、最後の手段として灯油を使用して火を付けようと試みます。しかしながら、結局炭をバインダーにした炭に火が付きませんでした。


炭は燃えず黒く焦げるのみです。

- 牛の糞

次に、同時並行で火を付けようとしていた牛の糞です。牛の糞ですが、これまた火を付けるのに時間が掛ります。最後の手段で、灯油を用いて漸く火が付きました。時間は全部で30分ほどです。


真ん中の炭が白くなって燃え始めています。

- モラセス

モラセスは実際に燃えるかどうか不明でしたが、grassと格闘する事30分、漸く火が付きました。泥と同様に、黒く焦げて中々燃えませんが、その後しばらくすると少しずつ燃え出します。


- キャッサバ

最後に比較として、キャッサバ使用の炭を燃やしてみます。grassで火を点火して3分ほどですぐに火が付きました。


右奥の炭の左下が白くなっていて燃え出している事が分かります。

- 結論

結果をまとめると、以下のようになります。ただ、牛の糞は灯油を使用し、キャッサバ、モラセスはgrassを使用したという事で公平に比較ができていません。


2.1.4 火力

さて、炭を使用する上で1つの重要なポイントとなる火力。500mlの水をどれだけ早く沸騰させるかで調べてみます。泥使用の炭は火が付かなかったという事で無視します。

- 牛の糞

まずは牛の糞をテストします。

しかしながら15分辺りから小さい泡がたくさん現れてきますが、結局30分経っても沸騰しませんでした。指を入れて温度を調べてみたところ、肌感覚で70~80°はありそうです。

- モラセス

次にモラセス。これも、15分くらいから小さい泡がでてきますが、30分経っても沸騰する事はありませんでした。温度は、牛の糞と同じくらいです。

- キャッサバ

最後に前回の実験から火力がある事が分かっているキャッサバの実験。早くも10分ほどで泡がたくさん現れてきます。20分頃からいつ沸騰してもおかしくない状態が続きましたが、30分経っても沸騰しませんでした。温度的には90°ほどです。

しかし、蓋をすれば当然お湯は沸騰して、料理を作る事が可能です。以下のインスタントラーメンはこのキャッサバの炭で調理しました。


- まとめ

結局、どのバインダーを使用してみ30分以内に500mlの水を沸騰させることはありませんでした。それでも、実際は蓋をして料理をするので、調理をする事が可能だと思います。

火力に関しては、30分後の熱さを指で触って確かめた結果以下のようになりました。

キャッサバ > 牛の糞 ≧ モラセス

2.1.5 持続時間

もう1つの重要なポイントは、火の持続時間です。どんなに火力が強い炭でも15分ほどで燃えきってしまっては、新たな炭を投入しなければならずコスト的に魅力がないという結論になってしまいます。さて、前回の実験からキャッサバの持続時間は2時間ほどであるという事が分かっています。それと比較して、牛の糞とモラセスの継続時間はどれほどなのでしょうか?

2番目の硬さの項目で、持続時間は硬さに比例すると述べました。この観点から見ると、モラセスは短時間で炭が粉々になってしまう事が予想されます。また、熱でモラセスが溶け出すのではないという考えも出来そうです。

- 牛の糞

30分後に硬さをチェックしてみてどれほど持続しそうかチェックしました。

From 2011_09_26

動画のように、牛の糞は30分後ほとんど炭がアッシュに変化してしまい炭として機能していない事が分かりました。持続時間は40分前後と推測されます。

- モラセス

最後にモラセスです。30分後の炭をチェックしてみます。結果は当初の予想に反して、とても丈夫である事が分かりました。硬さはキャッサバと同等で2時間ほどの持続時間が期待できそうです。

From 2011_09_26

棒で突っついても崩れない事が分かります。

この事から、モラセスは火によって化学変化が起き、とても硬い物質に変化したのではないかと予測されます。

- まとめ

当初の予想に反して、モラセスがキャッサバと同等のまたはそれ以上の時間燃え続ける事が分かりました。牛の糞に関しては、キャッサバ等と比較して、耐久性がなく40分くらいでアッシュになってしまいます。


2.1.6

最後の要素は煙です。キャッサバは前回の実験から煙が出ない事が分かっています。ということで、今回の対象は牛の糞とモラセスです。

- 牛の糞

牛の糞に関しては、上記の動画のように30分後も継続して煙が出ている事が分かります。もし、灯油からの煙であるなら30分後には燃えきっているはずです。

- モラセス

モラセスは上記の動画のように煙が一切出ていません。
- まとめ

以下のようになります。牛の糞から煙が発生する事が分かりましたが、この煙がレストランの経営者等に取って果たして容認できるレベルなのかどうかが焦点になってきます。


2.2 外部テスト

さらに、今回はテストの信憑性を担保するために外部に委託して同様のテストをしてもらう事にしました。また、上記のテストで、火が付くまでの時間、火力等調べられていない部分があり、これらの部分も観察してもらう事にしました。

テストをしてくれるのは、村のマーケットでレストランを経営しているPaulです。Paulのレストランで毎日炭を使用しているので、実際に今回作った炭が使えるかどうか厳しい視点で実用的なフィードバックをしてくる事が可能です。



基本的にPaulが出した結論と自分が出した結論はだいたい一緒でしたが、Paulの結論はさらに実用的で詳細な実験結果でした。

-

私の実験と同様に、2時間ほど頑張っても火が付かないという結論になりました。

- 牛の糞

火は10分ほどで付き、そこから火力が最大になるまでもう5分かかります。持続時間は45分から1時間ほどだそうです。火力は、強くハードな食材も(鶏肉、牛肉等)も料理できるそうです。ただ、問題として大量の煙がでて、レストランでは使えないとの事。

- モラセス

火が付くまでに1時間、そこから火力が最大になるまでにさらにもう1時間かかります。そこからの持続時間は4時間以上だそうです。火力は、弱くハードな食材は料理できません。ただ、Paulからは、モラセスはソフトな食材を料理したり、お茶を作るのには持続時間が長い事から適しているという意見を貰いました。

- まとめ

Paulの意見をまとめると、キャッサバの代替として使えるのはモラセスだけという事です。また、モラセスとキャッサバの特徴の違いから、モラセスはソフトな食材、キャッサバはハードな食材を調理するのに適しているという事が分かりました。

2.3 炭テストのまとめ

自分が行ったテストとPaulが行ったテストをまとめた結果を以下に示します。


2.4 今後の課題

今後の課題ですが、キャッサバに代えてモラセスは完全に代替する事はできません。それは、上記のように特徴の違いからもそうですが、特にアクセスという観点からです。アクセスに関しては、モラセスを手に入れられる場所は非常に限られています。モラセスは砂糖の製造過程で出来る物なので、製糖会社の工場付近でしか手に入れる事ができません。それゆえ、この場所から遠くの村に住んでいるがはるばる足を運んでモラセスを購入できるかどうかは非常に疑わしいです。そのため、今後も継続してよりベターなバインダーを探さなければなりません。そこで、私が着目しているのが泥です。実はナイロビ周辺では、実際に泥をバインダーとして使用している例があるそうです。問題は、クラッシュした炭が小さすぎて、泥をバインダーとして使用するとそれぞれの炭の粒子が孤立してしまい燃えないという問題がある事です。そこで今後の課題としては、細かく砕いた炭と泥を適切な方法で組み合わせることができる方法を確立する事になります。

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