2011年9月5日月曜日

コペルニク・フェローTakuro便り18:キャッサバ不足への対策 アイデア編

原口拓郎@ケニアです。

前回のレポートで現状分析をした結果、Charcoal projectを進めていく上で、2つの問題、キャッサバの不足コンプレッサーの不足が炭の生産量を悪くしている原因だと分かりました。これからのレポートでは、この2つの問題の対策を考えていきたいと思います。まずは、キャッサバの不足の問題を考えていきます。この問題に対するアプローチは、キャッサバを他から持ってくるキャッサバの代替を考える、の2つです。

1. キャッサバを他から持ってくる。

なぜ、私が滞在している地域でキャッサバの値段が変動したり、流通量が変化したりするのかというと、キャッサバのマーケットが小さいからです。それでは、なぜ、マーケットが小さいのでしょう?それは、キャッサバはあくまでも主食であるトウモロコシの代替と考えられているからです。ということで、解決策の1つは、キャッサバを大きなマーケットから持ってくるになります。キャッサバの大きなマーケットを探してみると、私が滞在している場所から車で1時間ほどのウガンダとの国境沿いの町,Busiaではキャッサバが主食となっていて大きな市場があるという情報を入手しました。キャッサバはウガンダをから大量に持ち込まれているとのことです。という事で、短期的にこの問題を解決することは、キャッサバのサプライヤーに私たちが住んでいる地域にも需要があることを知らせる、またはキャッサバをBusiaから卸売りしてくれる人を探す、の方法が考えられます。

しかし、これはあくまでもキャッサバの代替手段が見つからなかった場合の最終手段です。

なぜなら、キャッサバはあくまでも食べ物であるという位置づけなので、このプロジェクトが大きくなった時に食べ物としてのキャッサバと競合する可能性があります。ブラジルでも実際にトウモロコシがバイオエタノールと食べ物との使い道で競合しました。また、キャッサバはラーニングコストとしてある程度お金が掛るので、もっと安価で安定的に入手できるバインダーを探しだせたら、大量に生産する事が可能になります。

2. キャッサバの代替を考える。

長期的に食べ物としてのキャッサバと競合する可能性がある、またラーニングコストとしてキャッサバはある程度コストがかかるという事で、食べ物と競合せず、もっと安定して安く入手できる物を探します。

ということで、まず何がバインダーの条件なのか整理してみます。

バインダーの理想的な条件は、粘着性、可燃性、煙を出さない、の3点です。

そして、上記の条件を満たす材料を探します。その結果、以下の3つがバインダーの候補として浮上しました。

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このアイデアは、私が前回ケニアを離れる直前にケニア人の友人が思い付いたアイデアです。時間の都合上、その時はフィードバックを聞くことはできませんでしたが、今回ケニアに戻ってきて電話した際に、問題ないという話を聞きました。もし、これが本当なら泥はどこでも大量に手に入れる事ができるので、ラーニングコストは事実上ゼロになります。

ただ、泥は燃えないので、燃やした時にどのような影響があるかは不明です。

友人が残してくれた炭。左がキャッサバを使用した炭、右が泥を使用した炭。

- 牛の糞

このアイデアは、泥の炭をテストした後に思い付きました。今まで、キャッサバありきで考えていましたが、泥を使えるという可能性を示唆された事で、他にもないかという思考が働き、見つけた新たな選択肢です。牛の糞を使うというのは、ある意味盲点で思い付きづらいですが、西ケニアでは家の壁、床を牛の糞で固めるという習慣があるため、牛の糞は生活の一部になっています。また、乾燥した牛の糞を燃やして料理をする家庭もあるくらいです。燃料としても使える事から、牛の糞は理想的なバインダーです。そして、もちろん無料で手に入ります。ただ、考えられる欠点として、燃やした時に臭いがするという可能性があります。乾燥した時にどれだけ臭いが抑えられるかが一つのポイントとなりそうです。

牛の糞を使って、キッチンの床を固めようとしています。

- モラセス(Molases)

このアイデアはCharcoal projectの技術アドバイザーであるJoshuaから勧められたアイデアです。モラセスは簡単に何かと言うと、砂糖の廃液です。そのため、この黒い液体は甘いです。そして、粘着質です。モラセスはMumias Sugar Companyが砂糖を生産する過程で発生します。このモラセスの現在の使い道は、お酒の製造、エタノールの製造、家畜への餌の3つです。最後の家畜への餌に関してですが、家畜にモラセスを与えるとたくさんのミルクを出すそうです。ちなみに、値段は、5リットルで100Kshです。1つの懸念は、粘着度がキャッサバと比較すると弱い事です。

Mumias Sugar Companyの近くにある大量のドラム缶

中には粘着性の黒い液体、モラセスが入っている。

さて、次回は実際にこの3つのマテリアルをバインダーとして炭を作ってみて比較テストしていきたいと思います。

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