2010年2月28日日曜日

Fletcher Schoolでのネットワーキング

今回のボストン滞在中、SIさんの計らいで、Tufts大学のFletcher Schoolの人々と会うこともできた。


まずはフレッチャースクールに留学生の方たちとのディナー。日本の省庁や民間から派遣されている方々で、彼らが4月に企画しているイベントなどについて話し合った。(詳細はcoming soon...)

さらに、講師として働いているKMさんとお茶を飲みながら話をする機会があった。SIさんが猛烈にKopernikのPRをしてくれており、KMさんも興味を持ってくれたので、直接会って紹介することにした。彼女はマイクロファイナンスの専門の方で、持続可能性などについての興味深い議論が出来た。

さらに、客員教授のPGさんとは2回ミーティングを行った。彼はマッキンゼー東京オフィスで働いていたこともあり、日本語を少し話す。Boston Pledgeというイニシアティブの責任者でもあり、インドの起業家を支援しているという。是非一緒に何かしようと言っていただき、いくつかの協業スキームを考えているところ。

2010年2月27日土曜日

MIT D-Lab

さて、今週はD-Lab漬けの週。


これはMITの授業で、発展途上国向けの適正技術・製品を「発明」する授業。ここから、農業・水・保健・ITなどの分野で様々な革新的なアイデアが出てきている。

今回のボストン滞在中にD-Lab Health(x2)、(遠藤さんの教える)D-Lab Prosthetics、D-Lab Designのクラスを傍聴させてもらった。

デザインクラス

デザインクラスで、水の運搬方法を考える生徒

手洗い用の水を供給するパーツのデザインチーム

D-Lab Healthのクラス

D-Labのワークショップ

粉薬を吸入するための装置

義足(Prosthetics)のクラスではコペルニクの紹介までさせていただいた(遠藤さん、有難うございます!)。コペルニクのパイロット活動を綴った
ビデオは結構受ける様子。実際にコペルニクでとり扱う製品をいくつか持っていったが、生徒も興味深々で手にとっていた。


さて、このD-Labは、有志により現在日本の大学での展開を準備中で、コペルニクのBusiness Development Specialistとして活躍してもらっている陸さんもこの中心メンバーの一人となっている。活動分野が近いということもあり、ETICさんの主催で、中小企業の経営者を対象とした、D Lab/Kopernikの共同セミナーも3月19日に代々木で行うことになった。興味のある方が是非↑のリンクよりお申込みをお願いします。

2010年2月26日金曜日

「発明者に聞く」 Qドラムのピエト・ヘンドリクス氏

これも奥村礼子さんに訳していただきました。有難うございます。原文はこちらで。Qドラムを使用したプロジェクトへの寄付はこちらから出来ます。

発展途上国において、毎日の生活用水を運ぶことは、最も骨の折れ、しばし危険を伴う仕事の一つである。しかし、毎日の50リットルにもおよぶ生活用水の運搬を飛躍的に簡単にする、非常にシンプルな解決策が発明された。この「Qドラム」は真ん中に穴ある大きな円形の容器だ。発明家のPiet Hendrikse氏は“古くなった衣類、ロープ、あるいはより糸などどんなものでも簡単にこのQドラムを引っ張ることができるのです。”と話す。あまりに単純な解決策なので、これまでどうしてこのような方法が使われていなかったのか多くの人が不思議に思ったほどである。

しかし実際は、Qドラムの生産は想像以上に困難であることが分かった。“真ん中の穴を作ること、(つまり)ローターの型づくりは、最も複雑でコストがかかりました。” Hendrikse氏は言う。他に生産が難しかった点は、Qドラムの厚さである。“極度な耐久性が必要なのです。薄くてはダメ。この点が生産コストを上げてしまいました。”

現在Qドラムは市場に出まわるようになり、多くの地域で見られる水の運搬という共通の問題を解決している。Hendrikse氏自身、その問題を直接目のあたりにしてきた。“私は南アフリカの北部に住んでおり、そこから約30キロ離れたところによく車で出かけていました。村々を通りすぎる際、人々が毎日の生活用水を運ぶために、一輪車や古い給水ドラム缶を押している姿を見ました。しかし、この運搬の仕方は持続可能ではありません。私は何かもっと簡単な方法があるのではないか、と考えるようになりました。”

“ある日私の兄弟が訪ねてきた時に、彼にこの問題について話しました。そこで我々は、真ん中に穴をあけて、そこにロープを通すことを考えついたのです。しかし、一番の問題は、それをどのように製造するか、ということでした。私はまずは試作品を作り、村の人々に使ってもらったのですが、彼らは熱狂的に喜んでくれました。”

このQドラムが、Cooper- HewittDesign for the Other 90 Percentに展示されたのをきっかけに、このシンプルな水の運搬器具は、急激に世界中の注目を集めることとなった。

“QドラムがCooper-Hewittで展示された後、事業が本格的に発進しました。そして現在では世界中から問い合わせがきています。”しかし、Qドラムの販売にはまだまだ障害がある。Hendrikse氏はこう続けた。“5個あるいは10個のQドラムを送る場合、輸送費がQドラムそのものの費用を上回ることになります。これは我々にとってやはり大きな問題です。”

Hendrikse氏は、Qドラムが、それを最も必要としている人々にとって手が届く商品になるよう、(輸送)コスト削減のために多くの国際機関やドナーとの協働について模索している。“Kopernikのような組織との協働は、そういった努力の結果です。しかし、本当に時間がかかります。”

Qドラムを現地に輸送するまでは大変だが、いったんQドラムを使い始めたら、その輸送能力は優れたものだ。Hendrikse氏はそれを“Africa-proof””と表現する。 “Qドラムは平均して最低5年間は使用可能です。私は毎日6キロ以上の距離を、8年間使用されているものも見ました。ほとんど損傷はなく、今も力強く働いてくれています。”

2010年2月25日木曜日

MIT IDEAS competition


ついさっき、ブルックリンに家に着いた。今日から明日にかけて大雪が降るとのことで(もう既に積ってきている)、バスの到着も遅れた。

さて、今回のボストン出張について小出しに書いていくが、まずは昨晩について。

MITには、IDEAS Competition と言うものがある。これは、社会に良い変化をもたらすような革新的なアイデアを毎年競い合い、勝者に賞金が与えられ、アイデアを実現するというもの。私もソーシャル・ベンチャーの文脈でで色々と話は聞いていたことがあった。

たまたま、昨日の朝、このIDEAS Competitionの一環のイベントがあることを聞いた。教えてくれた彼自身、このコンペティションで賞を取ったことがあるらしい。Kopernikのモデルに共感してくれた彼は、すぐさまこのCompetitionの主催者SSさんのところに我々を連れて行ってくれ、紹介してくれた。そこで彼女にKopernikの話をしたところ、「じゃあ、今日のイベントにいらっしゃい。そこであなたたちのやっていることを紹介してもらいましょう。」という話になった。

なんだか良く分からないなか、6時にイベントの場所まで行くと、雨にも関わらず多くの人が集まっている。しばらくするとD-Labを始めたASさんも同じテーブルに座り、色々と話も出来た。

開始後、30分ほどで私の名前が呼ばれ、3分ほどでKopernikの説明をした。その後多くの学生の人が興味を持ってくれ何か一緒に出来ないかと言ってくれた。さらに、開催者の人達から是非正式にIDEA Competitionに参加しないかとも言ってもらったが、うーんどうしようか。

それにしても、これは全く予想していなかった出来事。


ボストン出張を終えて

ほぼ4日間のボストン出張を終え、今NYへの帰路についている。

色々な人の手助けをいただき、毎日が非常に充実したものとなった。第一の目的も達し、その他予定していなかった機会をあたえられるなど、想像以上の出張となった。

皆さんサポートありがとう。詳しくは今後のブログで。

2010年2月22日月曜日

「発明者に聞く」シリーズ Solanternジョセフ・ガンガ氏

コペルニクウェブサイトで「発明者に聞く」シリーズを始めました。第一回目は、Solanternの発明者ジョセフ・ガンガ氏のお話を掲載します。(奥村礼子さん、翻訳有難うございました)。


Solantern 設立者であるジョセフ・ガンガ氏は、成熟してきた太陽電池とLED技術を組み合わせることによって、高価なケロシンランタンの代替製品になると考えた。高品質のランタンと彼のマーケティングと販売の知識生かし、クリーンで手頃な価格の照明の提供という発展途上国において最も大きな問題の解決に目指すことになった。

段々と手に届きやすくもなってきた。“太陽発電ランタンは今日、ケロシンランタンより安くなっています。例えば、ケニアのある家庭では一晩に13セント、つまり年間47ドルをケロシンに費やします。我々のソーラーランタンは25ドルで販売していますが、太陽電池は3年間持続し、取替用の太陽電池は3ドルです。すなわち、ある家庭がソーラーランタンを購入した場合、彼らの照明にかかる年間費用は8.88ドルとなります。

もちろん、ガンガ氏が指摘しているように、発展途上国の貧困層の人々がこれほどの出費をするのはそう簡単ではない。“たいていの家庭が一度に25ドルを払えないため、こういった商品を大規模に普及させることは困難です彼らにとっては毎日ケロシンに13セントを支払う方がより簡単なのです。”

Solanternは様々なパートナシップと通してこの問題を乗り越えようとしている。その中でも特にマイクロファイナンスとの協力に力を入れていると言う。“マイクロファイナンス機関は我々の商品にとっては素晴らしい販路を提供します。”ガンガ氏は言う。“彼らは我々の顧客に対してランタンの購入費用を提供します。これは大規模にこの技術を広めるのに非常に重要なポイントとなります。

ソーラーランタンへの投資による効果は、時間がたつにつてれコストを上回るようになる。短期的には、ガンガ氏が指摘するように、家庭はケロシン代を節約し、さらにこれまで支払ってきた(排気ガスが原因の)呼吸器系の病気のための治療代を支払わなくていいようになる。長期的には、“夜間に仕事できるようになるため生産性が向上し、子供たちはより質のよい明りの下で勉強することができるようになり、地方の貧しい人々の生活の質の向上につながります。”

ガンガ氏は、太陽電池は多くの人々が懸念するより大きな問題である、地球温暖化問題への対応策にもなり得ると考える。気候変動への感心が高まったことによって、Solanternのようなより小規模、革新的で機敏な会社に注目と資金が集まってきた。“地球温暖化への意識向上、二酸化炭素排出量削減の必要性、そして欧米諸国による大規模な投資があいまって、かなりの額の資金が再生可能なエネルギーのための研究開発費に回るようになりました。これは、再生可能なエネルギーへの費用曲線が急速に低下することを意味します。より多くの再生可能なエネルギーの選択肢、低コスト、そして産業界でのさらなる経験が、より良くより廉価な解決法を導くことになると思われます。”

道徳的な使命感もある。“世界中の政府が室内での喫煙を禁止しています。農村の貧しい人々がケロシンランタンの下に毎晩集い、夕食を食べ、宿題をしなければならないという危険な状況を無視することは犯罪ではないでしょうか。”

2010年2月21日日曜日

ボストンへ「出張」

明日の早朝よりボストンに向かう。目的は、MITのD-Labの授業を見学させてもらい(授業でコペルニクの紹介までさせてもらえるとのこと)、さらにキーパーソンと直接会ってパートナーシップを強化すること。

同時に、コペルニクで夏季のインターンを希望してくれているケネディースクールの学生で、元アキュメン・フェローのMIと会ったり、Fletcher Schoolでテクノロジーと開発を教えている教授に会ったり、友人達とディナーなど、盛りだくさん。

兄が昔ボストンに留学していたこともあり、何度か行ったことはあるが、かなり久しぶりだ。実りの多い「出張」となればいい。

2010年2月19日金曜日

今日正式ローンチ!

今年1月25日のソフトローンチの後、ウェブのテスト、アップグレードなどをしておりましたが、今日、コペルニクスの誕生日に正式ローンチしました!

早速いくつかのメディアで取り上げていただきました。
他のメディアの方々にもコンタクトをいただいており、リストが増えそう。

日本のローンチはまた別に行う予定です。Stay tuned!

2010年2月18日木曜日

JustMilk HIV/AIDSの母子感染を防ぐ

JustMilkとはその名の通り、HIV/AIDSのウィルスを除いた母乳を赤ちゃんに供給できるようにした器具。シリコンで出来たシールドに、科学薬品を染み込ませたフィルター(綿・ウールで出来ている)を加え、母乳がそこを通るときにウィルスを濾過するというもの。

このフィルターは取替え可能で、授乳の量によって一日、1-2回取り替えるという。現在はさらに、フィルターにビタミンなどを加える研究をしているらしい。

これ、単価いくらするのかは分からないが、以前紹介したInternational Development Design Summitでも支援を受けたらしい。

2010年2月17日水曜日

コペルニクの始まり

コペルニク英語版のブログに、コペルニクの始まりの話を書いた。

我々の問題意識、そして、どういった経緯で今のモデルに至ったかなどを書いてます。

英語ですがお手すきの時にでも是非ご一読を。

2010年2月15日月曜日

Jaipurfoot 発展途上国向けの義足

今回は、MITのD-Labで講師を勤め、BoP技術の最前線で働く遠藤謙さんに、ゲスト投稿をしていただきました。


世界には1千万人を超える切断患者が存在し、毎年25万人もの人が天災や病気、交通事故、あるいは戦争や内戦、対人地雷などの理由で体の一部を切断するという苦渋の決断を強いられている。先進国では膝下切断患者でも2000ドルはする下腿義足を使用する一方で、途上国では安価で機能的とは言えないような義足が使用されていた。その中でShri D. R. Mehta氏によって1975年設立された
Jaipurfootは、これまでに大きなイノベーションを起こしてきた。

Jaipurfootの正式名称はBhagwan Mahaveer Viklang Sahayata Samiti (BMVSS)であるが、アメリカではJaipurfootと呼ばれることが多い。Jaipurfootは義肢や装具を無償で配布しており、インド国内16箇所にあるクリニックには毎日多くの患者が義肢や装具を求めて訪れる。また、Jaipurfootはクリニックのない地域や国外で、義肢装具を配布するためのキャンプも行っている。これまでに配布してきた義肢装具の数は30万を超えており、現在世界最大の義肢装具コミュニティーといわれている。

Jaipurfootの特にすぐれている点は以下の3つに集約される。

  • 安価で高機能な義足、Jaipur Foot
1970年代以前、西洋で開発されたSUCH footとよばれる安価な義足は当時途上国を中心に最も多く使用されていた義足の一つだった。インドでもSUCH footが多く使用されていたが、しゃがむ動作に不向きである、人の足には見えないという理由から新しい義足の発明が待ち望まれていた。そして、これらの問題を解決するために、1968年、Ram Chander Sharma氏によって発明されたのがJaipur Footである。

  • 一日でフィッティングを可能にするプロセス
アメリカや日本のような国では義肢を作成するために、患者の切断箇所の型を作成し、ソケットとよばれる義肢と身体を接続するためのものを作成する必要があるが、このプロセスに通常1ヶ月以上かかることがある。インドでは、患者がクリニックに何回も来ることができないために、義肢の作成を数時間で行う必要がある。Jaipurfootでは、患者はクリニックに到着してから3、4時間後には義足をつかって歩いて帰ることできる。
  • 安いランニングコスト
義肢装具作成には、安い素材と簡易な加工しか行っていないために、組織自体の運営費も安く押さえることができる。さらに、義肢装具サービス以外の出費を最小限に押さえている為に、義足は無償で配布し、すべてを個人の投資や国からの補助によってカバーしている。

このように、Jaipurfootのビジネスモデルは、インドや周辺国の情勢や文化にうまく適合し、今なお成長しつづけている。ただし、自社内ではR&Dに手が回らないという問題点もある。これを解決する為にJaipurfootは積極的にスタンフォードやMITなどの大学との連携を進めている。

私は
MITD-labのスタッフとして途上国向けの義肢装具技術の開発を担当している。D-labとはMITに設置されている国際開発と適正技術に関する授業である。D-labは現地コミュニティーとパートナーシップを組み、彼らのための技術開発を行い、さらに冬や夏の休暇中にインターンシッププログラムを実施して技術の定着を目指している。D-labには、国際開発導入はもちろん、車いす、メディカルデバイスの開発から、BoP市場向けのビジネスプランを考案するものまで、合計10種類もの授業があり、必修ではないにも関わらず大人気の授業になっている。私はD-labの中の途上国向けの義肢装具技術に関する授業Developing World Prosthetics(DWP)を担当しており、その活動の中で協力している現地コミュニティーの一つがJaipurfootである。

DWPでは、安価な素材や限られた加工機のみを用いるといった制約条件の中で、Jaipurfootの再設計や膝上の部分を切断した患者のための大腿義足の制作などを行ってきた。例えば、以下の動画は2007年の夏のインターンシップのときに行われた大腿義足の実験の様子である。現在3名の切断患者がこの義足をインド国内で使用しており、今年の夏にまた新しいプロトタイプをクリニックに持っていく予定である。



参考資料
Jaipur foot study at Michigan Business School

2010年2月14日日曜日

ニューヨーク 社会起業家ネットワーク

昨日、近くに住む友人SDの家で、ニューヨークに在住の社会起業家・創業者の集まりがあった。SDとコペルニクの共同創設者エヴァが始めたネットワーク。

Alldaybuffetという社会企業を支援するウェブマガジンの人や、Net Impact(我々も去年参加した)のNY代表者、人身売買の被害者女性に職を与えるHello Rewindの代表者、公認会計士の仕事を休職し、NPO向けのコンサルを行うsynergy ministryで働く人などが集まった。

皆スタートアップの真っただ中で、多くのチャレンジや教訓を身にしみて感じている。こういったグループで、今後定期的に情報交換をしていこうと合意。

「同士」という感じでなかなか刺激を受けるいいグループ。

2010年2月13日土曜日

ノン・プロフィットセクターでのコンペティションとアライアンス

コペルニク、ローンチから間もないが、「大手」も含め、様々な団体などから協業の可能性についての打診が来るようになった。

ノンプロフィットの世界は、コンペティションとアライアンスの上手いバランスの上に成り立っているような気がする。この世界、ある程度の競争がないと、NGOの中での淘汰が起こらないし、ひいてはパフォーマンスの悪い団体が幅を利かせるということになる。一方、ノンプロフィットの限られたリソースを上手く使い、各団体の強みを最大限に発揮するために、他団体とのアライアンスを築くメリットも大きい。

ここまで書いて思ったが、これは実はビジネスの世界と同じかも知れない。コンペティションは説明するまでもないが、日・米・欧の間での携帯電話キャリアーの(買収も含む)アライアンスや、航空会社のアライアンスなど、ビジネスもコンペティションとアライアンスのバランスで成り立っている。ビジネスの方がコンペティションの割合が大分高いだろうが。

2010年2月10日水曜日

BoP市場のざっくりセグメント

日本でもBoPという言葉がかなり聴かれるようになったが、一言にBoP市場と言っても、発展途上国の市場と理解すれば、色々なセグメントがある。そして、どのセグメントでプレイするかで、成功の鍵も変わってくる。たまに議論が空回りするのは、このセグメンテーションがはっきりしていないからだと思う。

このチャートは、去年の12月に東大で話をした時に使ったもので、4つのセグメントをざっくりと出してみた。

一番大きいのが、億円単位以上の製品やサービスを売るセグメント。大体、発電所や浄水所、道路や空港建設などがこの類。ほとんどの場合、これは世界銀行などからのODAのローンで行われる。

もう少し小さくて、数百万、数千万円単位のものは、学校建設だとか、病院建設だとかで、典型的に国連のグラントなどでまかなわれる。

更に小さくて、数万円とか数十万円の単位の製品・サービスセグメントは、農耕器具や、パソコンなどがイメージ。これは、主にNGOなどが資金源。

そして、一番小さいのが、石鹸、キャロジン、お米など数十銭ー数百円の世界で、貧困層が直接自分の財布からお金を出すセグメント。

セグメントによって、資金源が全くことなり、よって市場参入の鍵も全く異なってくる。やはり大手の企業などは、大きな市場を求めるため、上の2つのセグメントへの参入に興味を持っているが、これはBtoG、BtoUNの世界で一番下のBtoCセグメントとは全く性質が違う。日本の商社や建設会社などは、途上国ビジネスというと、このあたりがすぐにイメージされる様子。

ちなみにコペルニクの対象としているのは、下の2つのセグメント。ここに適正技術を効果的に浸透させたい。

3月半ばに一時帰国します

3月13日頃より26日頃まで日本に一時帰国する予定です。最初の3・4日程は関西ですが、その後は東京にいる予定です。

東京ではいくつかのイベントを企画しておりますが、その他、協業などに興味を持っていただける方、ご連絡をいただければと思います。

よろしくお願いします。

2010年2月9日火曜日

お知らせ:ウェブとメールの不具合について

何人かの方から御指摘も頂きましたが、昨日、サーバーアップグレードのため、コペルニクのサイトが10時間ほどダウンしておりました。ご迷惑をおかけしましたが、今朝よりもとに戻っております。

現在は、私のkopernikメールアドレスの不具合を調べております。今しばらく御理解いただければと思います。急ぎの場合は私のgmailまで御連絡お願いします。

2010年2月8日月曜日

International Development Design Summit

International Development Design Summitなる催しが、7月にコロラド州で行われる。これはMITのD-Labの創始者、Amy Smithさんが主催しているもので、様々なBoPデザインに関わる人達を一同に集め、共同で様々な作業をするというもの。去年はガーナで行われ、色々な面白いローテクBoP製品が出来あがっている。

例えばこれ(↓)。アフリカで主食となっているキャサバというお芋の一種があるが(私もシエラレオネにいる時によく食べてました)、これを原料にガリというお団子のようなものを作る国が多い。普通は、このお芋の皮をむくのに2時間かかるらしい。


そこで作ったのが、それ皮むきの時間を飛躍的に短くする器具。自転車のペダルのようなものを回して、一度に何本ものキャサバの皮むきが出来る。


さて、このような取り組みは発展途上国の社会・経済的な効率性を上げることに貢献するが、1つや2つの器具を作っていただけではインパクトが出ない。というわけで、今年のサミットのテーマはDissemination(技術の浸透とでも訳せばいいのか)。 まさにこれはKopernikの土俵ということで、是非参加してみたい。

2010年2月7日日曜日

途上国向け保健・医療イノベーション

今朝、日課のジムでいつものようにTEDを見ていた。今回フィーチャーされているのはハーバード大のGeorge Whitesides教授の始めた廉価で「切手サイズの紙で診断」する技術。Diagnostics For Allという非営利団体でこのプロダクトを開発・生産している。


価格と流通という、途上国での医療(これ実は医療だけでなく、途上国への技術導入一般に言えること)の2つの大きな問題を、紙というどこでもあり、安価な原料を使うことによって解決することを目指している。プリンターを使って特殊な紙に化学物質を「印刷」することによって、血液を診断出来る装置の出来あがり。血液を着けた時の紙の色の変化を携帯電話でラボに送信し、症状を診断するというシステム。

発展途上国での医師不足と診断の難しさに着目し、ケニアなどの国で簡単な問診票に携帯電話で答え、それをアメリカの大学病院に送信するClickdiagnosticsという取り組みは以前にも紹介したことがある。途上国向け医療分野でも多くのイノベーションが起こっている。

2010年2月6日土曜日

ウガンダで始まったGoogle Trader


先日グーグルを訪ねた時に教えてもらったのがウガンダで始まったグーグル・トレーダー。これは、モノやサービスを売買するためのマーケットプレースで、キモは最もシンプルな携帯電話でサービスを使えるというところ。

御存じの様に、開発途上国でのインターネットの普及率はまだ低いが、携帯電話の普及率は非常に高い。アフリカの多くの国で、最貧層に位置する人たちでも、ノキアの携帯電話は持っている。ここに注目し、グーグルは、このグーグル・トレーダーを開始したということ。農産物から、求人情報、電気製品や排水管修理などのサービスが掲載されている。携帯のテキストで、「Buy Agriculture」というメッセージを「6007」という番号に送れば、売られている農作物が携帯電話の画面でブラウズできるようになっている。

情報の不完全なところから、市場の失敗が起こることに注目し、例えば芋や米などの適正価格を携帯電話で調べれるシステムなどはぽつぽつと出てきてはいたが、商取引の促進というもう一歩先をいったもの。これにさらに楽天の途上国版のイメージで、携帯での決済やデリバリーサービスが加わるということは出来ないか。

2010年2月4日木曜日

ニューヨークにいる利点

ニューヨークにいてつくづく思うのは、この場所の利点。

1: 国連や財団など多くの開発に関係する組織の本部があり、ネットワークがつくりやすい
2: 似た志を持った「社会起業家」がニューヨークに住んでおり、これもまたネットワークが作りやすい
3: 周りに大学が多く、コペルニク・テクノロジー・プロバイダーとのネットワークが作りやすい
4: 社会起業をテーマにしたイベントやセミナーが多く、刺激をうける
5: 色々な友人が出張や休暇で訪ねて来るため、頻繁に会える
6: 大学院に留学中の多くの人がコペルニクの支援に興味を持ってくれる

今、共同創設者がインドネシアでの拠点を作るために出張に行っているが、やはりNYという場所の利点を生かし、コペルニクの拠点として残しながら、インドネシアや他の途上国を行ったり来たりするのがよいのではと考えている。

2010年2月3日水曜日

ハイチに出張?

通常、ハイチのような大規模な自然災害の後には、2段階での計画作りとファンドレイジングが行われる。

第一段階はフラッシュアピールと呼ばれる人道支援向けのもの。すでにこれは済んで、550億円ほどの資金を呼びかけている。

第2段階は中・長期的な復興を目的とするもので、今このプロセスの準備が始まり、実際のニーズアセスメントを行うチーム作りをしている。

そのコンテクストで、先日、同僚からメールをもらった。ハイチに送るチームの一員として名前を入れておいたとのこと。津波後のニーズアセスメントで一緒に働いたことがあり、その時のことをよく覚えてくれていたようだ。私はガバナンスのアセスメントをリードし、断片的なデータで何とかニーズを出した。さらに、その後に起こったジョグジャカルタ地震の後も同様のアセスメントを担当し、このような仕事に慣れてはいる。

しかし、いったん行くと数ヶ月はハイチに残らなくてはならなくなる可能性もあり、コペルニクをローンチしたばかりの今は残念ながら時期が悪い。結局、泣く泣くお断りをしたが、コペルニクを通じた、違う形での貢献ができればいい。